京王百貨店新宿店 濵中 昌香 さん
新宿駅西口を出てすぐのところにある京王百貨店新宿店。洋傘の売場は1階フロアの中央にあります。平日の午前中でも多くのお客様で賑わう、婦人洋品売場の中でも人気の一角。売場では、アンブレラ・マスターの資格取得者をはじめ、傘に精通する販売スタッフが、デパートならではの丁寧な接客で応対してくれます。
Q.まずは売場の特徴を教えてください。
A. 売場の展開アイテムが季節に合わせて自在に拡大・縮小、移動されるのが特徴ですね。真冬のときには傘のスペースは縮小されて、陳列する本数も200本程度。でも、2月の後半に新作パラソルが出始める時期から拡大され、3月のレインフェアでさらに大きくなり、 4月後半のパラソルフェア開催時から梅雨までは最大になります。場所もフロア内で特に人通りが多い「一等地」に移り、ブランド傘を中心に1000本以上のパラソルや雨傘が展開されます。
Q.最近の売れ筋アイテムの特徴は？
A. 顧客層は50代以上が7割を占め、よく売れる価格帯は5000円台。皆さん軽量でコンパクトな折りたたみ傘をお求めになる傾向が強いようです。私どもの売場ではそうしたお客様のニーズに対応するため、折りたたみ傘のラインナップを充実させるとともに、プライスカードにグラム数を表記したり、秤を置いてお客様が自由に重さを量れるようにしています。
Q.売場では修理サービスにも力を入れられているようですね。
A. 実は、私は販売のほか洋傘の修理対応を担当しており、お客様と修理工場をつなぐ役割を担っています。修理の傘を受け取ったらまず広げて、お客様が言われた箇所以外にも故障がないか、徹底的にチェックします。その上で修理箇所についてお客様に承諾をいただき、メーカーに修理を依頼して、傘を送付します。修理が済むと今度はお客様に連絡します。ご不在の場合は電話をかけ直し、どうしてもつながらなければお手紙を出します。このプロセスでは手を抜くことなく、できるだけ丁寧な対応を心がけています。傘の修理依頼は3月～10月の時期が多く、1日10本以上になることもあり、年間では実に1500～1800本にもなります。お客様のエコに対する意識の高まり、京王百貨店なら直してくれるだろうという信頼もあるのか、件数は年々増えています。
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Q.アンブレラ・マスターの資格も取得されましたね。
A. 売場の修理担当として、アンブレラ・マスターの資格者限定の「傘の修理セミナー」を受講するため、というのが大きな理由です。資格を取得して、セミナーも受講でき、修理に関する知識やスキルを身に付けることができました。今後はセミナーで習得した、傘の骨を生地に縫い付けるための「中とじ」や「口とじ」といった技術を、店頭での修理対応の中で活かしたいですね。またこの技術を他の社員にも伝え、売場の修理対応のレベルを向上させることも考えています。そうした活動を通じて、修理に要する時間を減らすことを目指したいと思います。
アンブレラマスター傘への思い
傘の故障を減らすために
傘売場で修理の担当になったのは2004年からです。それから長年にわたり修理対応に携わる中で、できるだけ傘が故障しないようにするには、どうすればいいかを考えるようになりました。
そこで、店頭に立つ時には、傘の扱い方やアフターケアなどの秘訣、さらには傘の魅力を、できるだけ多くのお客様にお伝えすることを、自分の使命としています。忙しくても最低1日1人に説明することが自分に課したノルマです。そうすることで、傘をより一層やさしく扱ったり、長持ちさせていただける方が、1人でも増えればと思っております。先日もあるお客様に説明したところ、「傘についてこれほど詳しい話を聞いたことがない。おかげで傘に対する見方が変わり、愛着がわいた」といっていただき、本当に嬉しく思いましたね。今は日々そんな傘のファンを増やすことにやりがいを感じています。
雨の日を明るくする傘選び
そのほかに、売場でお伝えすることは、傘は雨をしのぐ道具という側面だけでなく、ファッションアイテムとしての顔も持っていることですね。雨の日は何となくジメッとした気分になりがちです。そんなときにこそ、洋服と合わせてキレイな傘をコーディネートして、明るい気分で外を歩きたいものです。お客様の中には、何本も傘を持ち、気分や洋服に合わせてその日の1本を選んでいる方もいらっしゃいます。 そうした方がもっと増えるといいですし、私もお客様がファッションアイテムとしての傘を見つけられるように、お手伝いをさせていただければと思っています。
よく、同僚や友人に「なんでそんなに傘にのめり込めるの」と聞かれます。答えは簡単。やっぱり傘が好きだからです。そんな心底傘好きの私の話を、ぜひ売場で聞いていただければと思います。
当店で人気の傘
京王百貨店の売れ筋は、コンパクトな折りたたみ傘・パラソル。遮光生地を使ったプリントタイプ、大きめの60cmで簡単に開けるクイックアーチ式のタイプ、骨にアルミやグラスファイバーを使用した軽量タイプなど、店頭での品揃えも非常に充実している。
店舗紹介
京王百貨店新宿店
住所：東京都新宿区西新宿1-1-4
TEL：03-3342-2111
アクセス：JR新宿駅西口を出てすぐのところにある。
ホームページ：http://www.keionet.com/
概要
京王百貨店新宿店の開店は1964年。現在、聖蹟桜ヶ丘店、サテライト店のららぽーと新三郷店を合わせて3店舗体制。新宿店は新宿駅西口の顔ともいえる百貨店のひとつで、平日、土日休日を問わず多くのお客様で賑わう。傘売場ではレインコートやレインハット、レインバッグなど周辺アイテムも充実。
※記事の内容は2010年3月現在のものです。
