新宿タカシマヤ　川上早奈江さん

2010.03.31

乗降客数日本一の新宿駅の新南口に、威風堂々と店を構える新宿タカシマヤ。JR口から入り、広い通路の左手を通っていくと傘売場が見えてきます。適度に調節された照明の中で、整然と並べられた傘の数々。まるで美術品のようにショーケースに収められた高級傘。思わず足を止めてゆっくりと見たくなるような傘売場です。

Q.

まずは売場の特徴を教えてください。

A.
雨傘は約500本を展開しています。紳士傘が3割、婦人傘が7割と、他店に比べて紳士傘の割合が高いのが特徴です。新宿タカシマヤは男性のお客様が多いので、品揃えを充実させています。紳士傘では、軽いもの、丈夫なもの、大きなものが人気。またたたみやすくビジネスバッグにも入るトップレスの折りたたみ傘もよく売れています。一方、パラソルは4月中旬以降に1階フロア中央のイベントスペースで展開され、最盛期には約1000本を取り揃えます。最近人気の遮光傘が半数を占め、髙島屋オリジナルの遮光傘も販売いたします。また、毎年5月末からは雨傘もイベントスペースに移設され、傘の一大販促イベント「傘パラダイス」を開催します。期間は2週間で、連日傘をお求めになるお客様で賑わいます。
Q.
お客様の年齢層はいかがですか？
A.
Q.

新宿という土地柄、外国の方も多いのでは？

A.

そうですね、よくお見かけします。午前中は特にご来店が多く、日本製の傘をお買い求めになります。平日は、午前中が外国の方、午後から小さいお子様連れのママさん、夕方からは会社帰りの若い男性やOLの方というのが、 1日のお客様の主な流れですね

Q.

レインコートも充実していますね。

A.

近年ニーズが高くなっていますから、要望に応えられるようにしっかりと展開しています。自転車を使うママさんもよく買われていきますよ。最近のものは、カラフルで、トレンチコートやスプリングコートの代わりになるオシャレなものが多く、それが人気の中心ですね。小さくたためてシワにならないものを、旅行の携行用として購入される方もいらっしゃいます。

Q.

アンブレラ・マスターの資格について聞かせてください。

A.

傘売場を担当するものとして、より傘のことを詳しく知りたいと思い、勉強して資格を取得しました。資格取得のためにテキストで勉強したり、講義を受講したりする中で、一番驚いたのは、傘作りが想像以上に大変な作業であるということ。正直、工場で機械によって自動的にできる部分が多いと思っていたのですが、ほとんどが手作業であることを知り、目からウロコが落ちる思いでした。それを知っているのと知らないのとでは、お客様への説明のレベルが全く違ってきます。今では、安価な傘と髙島屋の傘の何が違うのかをお話しするときに、「生地の裁断や縫い付けなどはすべて手作業」といった説明ができ、お客様にも納得していただけるようになりました。　　　

■当店で人気の傘

新宿タカシマヤが展開するオリジナル傘が売れ筋。オリジナル傘では「オシャレな遮光傘がほしい」、「遮光率が高いものがほしい」といったお客様の声を活かし、製品化している。

アンブレラマスター傘への思い

個性に合った商品を提案

接客のポイントは、お客様がいらしてもすぐには話しかけないことです。特に若い女性は店員にベッタリ付かれることが苦手な方がいらっしゃいますから。まずは、どういった商品をご覧になっているか、手にとられているかを確認します。そこにお客様の個性が現れますからね。そのうち「何か店員に質問したい」と思われると、顔を上げられたり、振り向かれたり、一言で言えば「声をかけてほしい雰囲気」が出てきます。そこですかさずお話をうかがいにいきます。さらにお一人お一人の個性に合った色や柄の新作などをお見せします。この一連の流れによって、お客様に心地よく買い物をしていただけるのではないかと思っています。
また、購入される傘については、お客様とともに不良箇所がないことをしっかりと点検することも重要です。糸のほつれがないか、中綴じは切れていないか、ネジはきちんと締まっているか――。テキパキと最終確認をし、間違いのないものをお客様にお渡しするようにしています。

ニーズには徹底的に対応

私どもが目指しているのは、「お客様のほしいものが必ず手に入る」傘売場です。ですから、お客様からの要望や声は、すぐにバイヤーに伝えます。バイヤーはそれを商品の仕入れの参考にすると同時に、オリジナル傘の製品化にも役立てています。お客様から「傘をたたむのが苦手」という声を受けて、たたみやすいトップレスのオリジナル傘を開発し販売しておりますが、これはほんの一例です。さらに、もしお客様がほしい色の在庫が切れていて、メーカーにもない場合は、全国の髙島屋の傘売場に連絡して探します。地方の店舗に在庫が残っており、取り寄せて数日後にお客様にお渡しできたケースもあります。
ニーズに徹底的にお応えして、お客様から「こういうのがほしかったの、ありがとう」とおっしゃっていただける瞬間が一番嬉しいですね。今後もそうしたお客様本位の接客を続けていきたいと思います。

店舗紹介