パラソルの 正解、不正解

　紫外線防止加工が施された生地を使っているパラソルであれば、紫外線カット率は、生地の色に関係なく高い。例えば、晴雨兼用パラソルの場合、JUPAマークを付けている製品は、黒以外の青や赤、ピンク、ベージュ、白など、どの色でもカット率は90％以上と十分なレベルだ。今日では様々な色や柄のパラソルが販売されているので、黒にこだわらず、自分に合った1本を探したい。

　パラソルは雨を防ぐ目的の傘でないため、大胆な生地使い、レース、刺繍などの装飾が可能であり、デザイン的に目立つものが多いのは確か。それに加えて、機能面でも紫外線防止加工をはじめ、はっ水加工、耐水加工、さらには遮光や遮熱効果のある生地を使った傘など多種多様である。ファッションと機能の両面を考えて選ぶことが重要だ。

　日傘に、はっ水加工と耐水加工を施した晴雨兼用パラソルは、晴天時だけでなく突然の雨にも対応できる。しかし、基本的に日傘用途の繊細な生地を使用しているため、雨傘に比べるとはっ水・耐水効果が低く、まとまった雨での使用には適さない。それに対し、最近は主にポリエステル製の雨傘に紫外線防止加工や遮光・遮熱加工を施したタイプが増えている。雨傘同様に長時間の降雨に使え、UVケアや暑さをしのぐ日傘としても活用可能。デザインも日傘として違和感のない仕上がりのものが増え、人気上昇中だ。　

　パラソルの1つのジャンルとして定着している遮光パラソルが登場したのは、実は約10年前だ。当初は一般的なパラソルよりも生地が厚く、少し重量感があった。しかし技術的な改良によって年々軽量化が図られ、今では一般的なパラソルと同様の持ちやすさを実現している。生地に加え、骨、手元などの素材やそれらの加工技術の進歩も、遮光、遮熱、UVカットなど多機能を持ちながら、“軽量・コンパクト”を可能にしている要因だ。

　春夏のシーズンには店頭に様々なパラソルが並ぶ。それぞれ機能性をアピールするPOPやラベルを掲げているが、大切なのはその根拠だろう。例えば「UVカット」というPOPやラベルがあった場合、どの程度UV（紫外線）をカットできるかが重要だ。その点、JUPA会員企業の紫外線防止加工生地を使ったパラソルは、紫外線カット率を定めた「JUPA基準」を試験でクリアしている。つまり、晴雨兼用パラソルで「UV」などの表示があれば、紫外線カット率は90％以上、雨には使えない純パラソルでも同70％以上となる。その他、生地の耐摩擦度、堅ろう度、骨や中棒の強度、耐水度・はっ水度（晴雨兼用の場合）などの試験にも合格している。JUPA会員企業のパラソルにはラベルなどに「JUPAマーク」が表示されているので、選ぶ際の目印としたい。

　太陽光は直接地上に達する「直射光」と、空気中の窒素や酸素、ちり、霧などに当たり方向が変化して到達する「散乱光」に分けられる。紫外線は波長が短いために散乱しやすく、直射光は約4割、散乱光は約6割。その他アスファルトは紫外線の約1割を反射する。パラソルは主に直射光を防ぐものなので、散乱光や反射光対策がどうしても必要になる。ポイントは肌の露出をできるだけ少なくすること。夏はパラソルに加え、日焼け止めクリームや帽子、UV手袋、サングラス、ストールなど総動員して、万全の紫外線対策で外出するのが賢明だ。

　折りたたみ傘をたたむ時のコツは、①折り目通りに丁寧に折り返し、等間隔でたたむ、②たたむときは生地を必要以上にこすらないように注意する、③生地をまとめる時はきつく締め付けすぎない、④中棒（シャフト）をきちんと押し込む、という4点がポイントになる。特に折り目に沿ってたたむことが重要で、折り目を無視してたたんだまま放置すると、次に広げた際に余計なシワが生じてしまう。洋傘売場や専門店の販売員にたたみ方を聞いてみるのも手だ。

　濡れたまま放置したり、十分に乾燥させずに収納してしまったりすると、生地の変色、カビ、はっ水機能の低下、骨の接合部分のさびの原因になる。濡れた場合は湿気を十分取り除くのが鉄則だ。濡れた生地を日光に当てていると、生地を傷める原因にもなるので、できるだけ風通しの良い日陰で干して、水分を十分に蒸発させてから使用すると良い。

　遮熱や遮光、UVカットなど機能性が注目されるパラソルだが、一方でお洒落を楽しむためのファッションアイテムの側面もある。洋服とのトータルコーディネートが重要であり、当然のことながら、洋傘デザイナーもその点を意識し、日々、ファッショントレンドや消費トレンドの研究に余念がない。3月から4月にかけて、店頭には最新の流行を取り入れた新作のパラソルが並ぶので、要チェックだ。

　パラソル選びは、用途、機能、色や柄、サイズなどを考慮する必要があり、迷ってしまうことが多いだろう。そんな時は傘の専門資格である「アンブレラ・マスター」を持つ販売員がいる売り場に行くことをおすすめしたい。アンブレラ・マスターは洋傘に関する様々な知識を問う試験に合格した販売員などをJUPAが認定する資格制度。主に全国の百貨店の洋傘売り場や洋傘専門店に有資格者がいる。なお、有資格者がいる店舗はJUPAのホームページ（http://www.jupa.gr.jp/）でチェックできる。