台湾編 Part2
2014.10.01
“日式”の派手な折りたたみ傘が人気
九州と同程度の面積の台湾は、沖縄県の与那国島と100km余りの近さだ。台北市のある北は亜熱帯、南は熱帯に属し、夏場(5~9月)は蒸し暑く、スコールや、台湾語で「西北雨(サイバッホー)」と呼ばれる猛烈な夕立が降る。台風の直撃を受けることも多く、台北市の年間降雨量は約2500mmと、東京の降雨量(約1500mm)のおよそ1.7倍だ。
まさに「雨の国」ともいえる台湾には洋傘専門店が多い。「台北では行く先々で見かけた。東京よりも多い印象を受けた」と、2014年4月に旅行した30代の日本人女性Sさんは指摘する。
品揃えにも特徴がある。まず、折りたたみ傘が充実していることだ。「午前中は晴れでも午後に雨になるなど、天候の変化は日常茶飯事。突然の雨にも対応できるように折りたたみ傘を持ち歩く人は多いと思う」と、Sさんは言う。実際にSさんが訪れた洋傘専門の路面店ではメインの陳列棚に折りたたみ傘がズラリと並んでいた。
南国特有の強烈な紫外線を防ぐため、UVカットの晴雨兼用傘も売れ筋だ。長傘、折りたたみ傘など様々なタイプが店頭に展開されている。雨傘、晴雨兼用傘はいずれも最安値が100元(約350円)で、店頭で「100元」と大きく掲示し、安さを訴求する店もある。
「日系」、「日式」などと看板に書き、「日本風、日本式であること」、「日本製と同様の品質であること」を前面に押し出す店も目立つ。「台湾人は親日派が多く、日本製品のデザインや機能が好き。日系や日式というだけでも宣伝効果がある」(Sさん)。
一方、百貨店の洋傘売場には蛍光色の黄色、オレンジ、黄緑など、日本ではあまり見かけないまばゆい色の傘が什器の中央を占めている。「台湾人は派手な色を好む傾向がある」と、Sさん。百貨店の売場に限らず、街角や駅地下の専門店でも、鮮やかな緑、青、オレンジなどの傘が目立つ。これも台湾の傘事情の特徴だろう。
また、台湾はスクーター王国。移動手段にスクーターを使う人がとにかく多い。雨の日にポンチョやレインコートを着て運転する姿は定番の光景だ。「撥水性が高く、デザイン性に優れる日本製品を現地で大々的に売れば人気になるかも」と、Sさんは話す。
日本と同様に傘の普及率が高く、レイングッズの愛用者も多い台湾。日系や日式ではない「本物の日本メーカーの傘」の需要も、今後は期待できるかもしれない。