イスラエル編
2014.03.01
なぜ耐風傘が売られている?
日本の四国程度の土地に約800万人が暮らすイス ラエル。中東和平の難題を抱えながらも、高度な技術 力によるハイテクや情報通信、さらにはダイヤモンド産 業が好調で、近年経済成長が続く。
気候は5月~10月が乾季で、11月~4月が雨季。首 都テルアビブや聖地エルサレムは、乾季にはほとんど 雨が降らず、特に6月~8月の夏季は降水量ゼロ。反対 に12月、1月の冬季には月間100ミリ以上の雨が降る 極 端 な 気 候 だ 。
降り方はシトシトだったり、シャワーのように激し かったり様々だ。テルアビブでは昨年、洪水が起こるほ どの豪雨に見舞われた日もあった。
では傘事情はどうか。数年前に現地に住んでいたS さんはこう話す「。雨でも傘を差さずに歩いたり、パー カーのフードを被ったりする人が多い。ユダヤ教の信 者は頭に小さい帽子(キッパ)を載せますが、濡れない ように帽子だけビニール袋に包んで被っている光景も 見かけました」。
傘が売っていないわけではない。ショッピングモールやキオスクでは店頭に並んでいる。「安価なものだと日本 円で500円~1000円。色は主に黒や黄色、青の単色。日本で見るようなお洒落な傘は少ないです」(Sさん)。
ただ、エルサレムでは日本で今人気の耐風傘(傘地が裏返っておちょこになっても、ひと振りすれば元に戻る 傘)が、数年前から既に売られていたというから意外だ。「エルサレムは標高が約800mと高く、冬場はよく突風が吹くから」と、Sさんは言う。日本製の優れた耐風傘を売れば、あるいは人気が出るのではないか。
一方、標高が高い分、季節を問わず日焼けするほど年中陽射しは強い。だが、日傘を差す習慣はない。「私が日 傘を使っていたら、『雨、降ってませんよ』と声をかけられたこともある。晴れの日に傘を差すことが不思議に見えるのでしょうね」(S さん)。
しかし、気候変動のせいか、イスラエルも近年気温が高くなる傾向で、依然は稀だった夏場の30℃越えも珍しくなくなったとか。今後は日傘のビジネスチャンスも期待できるかもしれない。