アパルトモン・アルシミスト 芦澤 早苗さん

2013.03.28

アパルトマン・アルシミスト
東京メトロ赤坂見附駅近くの「ホテルニューオータニ」。本館ロビィ階のアーケード街の一角に、ラグジュアリーな雰囲気が漂う「アパルトモン・アルシミスト」はあります。店内にスパを併設し、最高級スキンケア商品を用いたスペシャルトリートメントを提供するサロン。店頭にディスプレイされた傘に目が留まり、来店されるお客様も多いそうです。サロンで傘を提供する理由、扱っている傘の魅力を、ショップマネージャーでアンブレラ・マスターの芦澤早苗さんに聞きます。


店頭で伝えられる感動のストーリー

Q.お店の特徴を教えてください。アパルトモンアルシミスト ル・スパ ホテルニューオータニ店
A. 1994年に青山ベルコモンズに店をオープンした、アクセサリーや雑貨を扱う「セモア」の直営サロンです。コンセプトは世界中から集めた「至高の品」をお客様に提供すること。店内のスパでのスペシャルトリートメント、最高級の化粧品やスキンケア商品の販売、そして、30本程度の傘も取り揃えています。


Q.サロンで傘を扱い始めた理由は?
A. 当店は2011年夏にオープンしたばかりで、知名度がそれほど高くなく、お客様の入店機会を増やすために何かできないかと考えていました。その際、思いついたのが、姉妹店で提供している、洋傘メーカー「ワカオ」の傘を置くこと。店頭に飾れば目に留まりますし、入店されるきっかけになります。それに、何より私自身がワカオの傘に惚れ込んでいて、ホテルニューオータニを利用される方々に絶対に気に入っていただけると思いました。

Q.2012年5月頃から傘を扱い始めたそうですね。具体的な魅力は?
A. ワカオの傘はデザイン性の良さに加えて、「語れる」傘であることが魅力。私たち販売員は一つひとつのパーツを、どのような職人が作っているか、あるいはどのような想いで作っているかなどの情報を予めメーカーから聞き取りしています。それらのストーリーを店頭でお客様に紹介すると、本当に感動していただける。傘を買うというより、特別な技術や品質を買うといった気持ちになっていただけるのだと思います。

Q.売行きはいかがですか?アパルトモンアルシミスト ル・スパ ホテルニューオータニ店
A. ホテルニューオータニを訪れるお目の高いお客様にとっても、パッと見るだけで良い品だとわかり、さらにストーリーを話すことで、より興味を持っていただけます。50代~70代のマダムが主なお客様ですが、売れ行きも良く、リピートしてプレゼント用にご購入される方も多いですよ。


お客様に響く言葉を探す

提供する至高の品とともに、芦澤さんがこだわっていることが「接客」の質です。歴史のあるホテルの店という位置付けもあり、来店されたお客様への「おもてなし」の心を非常に大切にしています。
 

アパルトモンアルシミスト ル・スパ ホテルニューオータニ店
Q.接客の方法も大切にしているポイントがあるようですね。
A. 私たちは購入に至るまでのストーリーも非常に大切にしています。スパは癒しの空間。傘を選ぶこともお客様にとって安らげる時間にして差し上げたい。いわば買物自体もセラピーの一つと考えています。ですから、お客様が「これ」という自分にぴったりのものを探し出せるまで、おもてなしの心を忘れずに、手助けをすることが役割だと思っています。


Q.具体的にはどのような接客をしていますか?
A. 個々のお客様の心にピンポイントでグッと入っていくような言葉を、想像力を働かせながら探して、使うようにしています。例えば、ラベンダー色の傘を紹介する場合でも、「傘を開くと、まるで摘みたてのラベンダーの花束を手にしたときのようなフレッシュな香りを想像させる傘ですね」などと言い換えたりします。つまり、その場その場でお客様に響く言葉を探し、伝える。そうすることで、お客様が目に留めたものが、自分にとって特別なものに変わっていくのです。ただし、それには販売員にも豊かな表現力が必要になります。私も日々本物のと呼ばれる商品やサービスに触れる機会を多くし、表現力を磨くように心掛けています。


Q.買い物が楽しくなるような接客ですね。アパルトモンアルシミスト ル・スパ ホテルニューオータニ店
A. ホテルという異空間だからできる接客なのかもしれません。旅行中のお客様であれば、そうした接客を新鮮に感じていただいたり、楽しんでいただいたりすることで、傘を買ったことが旅の「思い出」になればいいなと思っています。






アンブレラ・マスター取得で生産者との関係が密に

芦澤さんは2012年秋にアンブレラ・マスターの資格を取得。傘の知識が深まることで、よりスムーズに接客できるようになり、メリットを実感しているそうです。さらに生産者とのコミュニケーションでも、その効果が表れていると言います。


Q.アンブレラ・マスターを取得しようと思ったきっかけは?アパルトモンアルシミスト ル・スパ ホテルニューオータニ店
A. メーカーから資格試験開催のことを聞き、もう、その場で「受けます」と即答しました(笑)。以前から傘が人の手によって組み立てられていることは知っていましたが、正直あまり実感はありませんでした。でも、テキストを何度も読み込み、講習会でDVDを見て、その世界の全てを想像し、理解することができました。足りなかったパズルのピースが全て埋まったような感覚。販売員としてレベルアップが図れたと思います。



Q.取得をした効果が早速表れているそうですね。
A. 修得した知識によって、傘の部位や機能の説明が的確にできるようになり、使い方やアフターケアも正確なことを伝えられるようになりました。接客力の向上は、売上げアップにもつながっていると思います。また、メーカーの方とのコミュニケーションが円滑になったことも効果の一つです。当初は専門用語が理解できず、話が噛み合わないこともありましたが、今ではやり取りも非常にスムーズ。私たちも自信を持って商談できますし、メーカーの方も私たちへの信頼度が増したのではないかと思います。

Q.今後も資格を活かしてお客様の満足度を上げたいですね。
A. そうですね。日本洋傘振興協議会主催の「傘の修理セミナー」も受講したので、今後は店頭での修理にも力を入れていきたいです。さらに傘にエンターテインメント性を加える試みにも挑戦していきます。私はラッピングコーディネーターの資格を持っているので、例えばリボンや包装紙を使ってお客様のニーズに応じてオートクチュールでラッピングするなど。私たち販売員も工夫して、傘をさらにお客様にとって「特別なもの」に、あるいは傘を購入することを「特別な体験」にできればと考えています。

当店イチオシの傘 当店のイチオシ傘
当店のイチオシ傘

アナタにとって傘販売のプロフェッショナルとは?

傘という選択肢が多いファッションアイテムの中で、お客様が「これこそ私のための商品」と思えるものを、さも自発的に選んだかのように導くことができる黒子役。(芦澤さん)


店舗紹介

アパルトモン・アルシミスト

住所:東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ本館ロビィ階
TEL:03-6272-3868
アクセス:東京メトロ赤坂見附駅下車徒歩5分
ブログ「C'EST MOI な時間」:http://cestmoijp.blogspot.jp/
概要:1994年、青山ベルコモンズ1階にセレクトショップ「セモア」を開店。その姉妹店として、2011年8月末にニューオータニのアーケード街に「アパルトモン・アルシミスト」をオープン。洋傘メーカー「ワカオ」のスリムな定番の長傘、折りたたみ傘、晴雨兼用パラソルなどを提供。
 


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※記事の内容は2013年2月現在のものです。

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