ファッションアイテムとしてのパラソル

2012.04.16

ファッションアイテムとしてのパラソル
広がるバリエーション

　
UVカット、遮光※、遮熱、軽量化――。パラソルは、近年、機能面で飛躍的な進化を遂げています。洋傘売場や専門店でも、「一級遮光のものを」、「より軽量なタイプを」と、“機能”を手掛かりに品物を探す女性も増えているようです。（※日本洋傘振興協議会では「遮光マーク」を付与、詳細は「遮光マークについて」をご覧下さい） しかし、主流は“ファッション”を重視したセレ クトです。服や靴、バッグなどと同じように、自分の好みだったり、流行っていたりする色柄がらを選 ぶ女性が多いでしょう。パラソルは、言うまでもなく、陽射しなどを遮る役割とともに、ファッショ ンアイテムとしての側面が非常に大きいのです。
　ファッション重視の意識に応えるため、新作パラソルでは毎年充実したラインナップが揃います。特に、今シーズンのバリエーションは 多彩です。
　1つは、カラフル化の流れです。ビビッドな 色、パステル調のカラー、多色使いなど、多種多様に展開されています。個性、遊び心を求 める女性に、訴求力のあるアプローチです。（写真1,2）
　2つ目は、フェミニンやガーリーなど、女性らしさを強調する流れです。主に赤やピンクをベースに大ぶりの刺繍柄や全 面柄で飾ったり、ワンポイントでアクセントを付けたりしています。ポイントは、フェミニンにしても、ガーリーにしても、甘すぎないスタイルであ ることです。（写真3,4）
　そして、3つ目が、シックやシンプルをキーワードとするライン。無地にワンポイント、伝統 的な柄、落ち着きのあるトーンなどでまとめた、 大人の女性好みのデザインです。（写真5,6）
　ファッションのニーズは年々多様化しています。洋傘もそうした時代の流れに呼応し、バリエーションに広がりを見せているのです。

1.［ nobi＊nobi＊＊］（オーロラ ￥8,925）		2.［ cocca］（ムーンバット ￥12,600）
3.[LANCETTI] （田中久 ￥10,500）		4.[eight tokyo] （エイト ￥7,350）
5.[さくら骨ジュエリー] （マルト長谷川 ￥3,150）		6.[裾ローズスカラ刺繍] （アセント ￥8,400）

Colorful
街角でひと際目を引くオリジナリティ。独特の色使いやデザインは、ファッションコーディネートのアクセントに最適。外出が楽しくなる逸品。
		「marimekko」のデザイナー、鈴木マサル氏が手掛けるオリジナルファブリックブランド「OTTAIPNU」とのコラボレーション。楽しく大胆な動物モチーフ柄（がら）が特徴の純パラソル。手元もユニーク。 ［OTTAIPNU］（ムーンバット ￥21,000）
		赤紫と深紫の2色使いのボーダーが落ち着いた雰囲気を醸す晴雨兼用パラソル。 マラッカ籐の手元を中棒に継ぎ、一本木のように見せている。自然な風合いも魅力。 ［かさ工房］（ワカオ ￥8,925）
		ボーダー生地に錨いかりをワンポイントで刺繍した、マリン感覚な晴雨兼用パラソル。 春夏の陽射しにマッチするデザイン。 ［SONIA RYKIEL］（真田商事・田中久 ￥10,500）
		全面刺繍とフリルがとてもラブリーな晴雨兼用パラソル。 刺繍の色調に合わせたグリーンの手元でJocomomolaらしさをさらにプラス。 ［Jocomomola］（田中久 ￥6,825）
		動物や昆虫、植物、風景などをモチーフに型染めと注染による染布を制作するブランド「kata kata」とのコラボレーションによる晴雨兼用パラソル。 ［kata kata］（ムーンバット ￥16,800）
		鮮やかなイエローの一級遮光生地を使った晴雨兼用パラソル。 黒色の内側とのコントラストも特徴的。刺繍や細かいステッチがナチュラルテイスト。 ［FRANCO FERRARO］（田中久　￥5,250）
		ブルーとイエローの可愛らしいチェック柄がらに、動物や植物のカラフルな刺繍を組み合わせた。カジュアルな服装とのコーディネートに最適。 遮光・遮熱・UVカットの生地を使用した晴雨兼用パラソル。 ［nobi＊nobi＊＊］（オーロラ ￥8,925）
		かすれた自然な風合いの生地に水玉柄（がら）を切り継ぎ、イラストをアクセントに。 真っ赤な手元とブルーの生地とのコントラストが実に鮮やか。 一級遮光・遮熱・UVカット生地使用。 ［lisa stickley］（オーロラ ￥8,400）
		ビビッドなピンクの生地と深張りの独特なフォルムが印象的。 縁沿いにカラフルな「cocca」の文字を飾る遊び心も。 手元と中棒は、木を使いナチュラルに。 ［cocca］（ムーンバット ￥8,925）

Chic & Simple
粋で、上品。そして、シンプル。落ち着いたトーンの色柄がらがファッションの質を高める。洗練された大人の女性に向けた、スタイリッシュなラインナップ。
		シックな紺の生地に、カラフルに彩られた貝のモチーフをちりばめた。 中棒、石突、露先はゴールドカラーで、上品さがより際立つ。16本骨の多間パラソル。 ［HANAE MORI］（真田商事 ￥12,600）
		京友禅染の麻100％の生地に、九州産の上質な寒竹を組み合わせた純パラソル。 麻の風合いを残すため、あえて防水加工はしていない。 紺、黒、茶の3色。露先もこだわりの木製。 ［かさ工房］（ワカオ ￥16,800）
		雨傘で人気のほぐし織りの婦人自転車柄がらをパラソルで再現。 天然素材の風合いを活かしながら、UV加工も施している。 ［ほぐし織り 日傘］（モンブランヤマグチ ￥19,950）
		葛飾北斎の『北斎漫画』の絵を、上品に晴雨兼用パラソルに仕上げた。 藤色、紺、ベージュ、茶の4色展開。 ［葛飾北斎］（オーロラ ￥7,350）
		エキゾチックなフラワーモチーフを、オーガンジーの切り継ぎとカットワークで表現。 ロングタイプのハンドルがエレガント。 ［HANAE MORI］（真田商事 ￥12,600）
		程よい小間割りの12本骨多間傘。普段の服装とのコーディネートもしやすい。 ポリエステルと綿の混紡生地。ワンポイントの花プリントが特徴。 ［花ワンポイント］（マルト長谷川 ￥3,150）
		紫外線防止と体感温度を下げる効果がある、セラミックを織り込んだ生地を採用。 ボリューム感のある刺繍とオーガンジー使いで、ゴージャスな装いに。 ［オーガンジーはめ込み花刺繍］（アセント　￥5,250）
		遮光・遮熱・UVカット加工を施した晴雨兼用パラソル。 細かいドットに可愛らしく花をアレンジしたスタイル。 ナチュラルなテイストも演出。 ［PERSON'S］（ダイトー ￥3,045）

Feminine
女性らしさ、優しさ、可愛らしさを強調した、春夏シーズンにふさわしい色柄がらが勢ぞろい。 ガーリー、フェミニンなスタイルとのコーディネートを満喫。
		綿1 0 0％の花刺繍生地にUV加工を施し、47㎝の樫木棒、スチール骨を合わせた純パラソル。生地、籐の手元は日本製。ラップ巻の石突がエレガント。 サクラを彷彿させるデザイン。 ［かさ工房］（ワカオ　￥12,600）
		NY在住の画家、久下貴史氏が描く猫をモチーフにしたブランドの新作。 ハートと猫のワンポイント刺繍が、生地の裾と手元に入り、キュートな印象。 ［Manhattaner's］（カネイ ￥8,400）
		可愛らしいデザインのハートや花、蝶々の大きな刺繍を、裾部分に豪華に飾ったチャーミ ングなパラソル。刺繍の形に合わせてカットした縁もおしゃれ。 ［UNO KANDA］（オーロラ　￥12,600）
		パステル調のカラフルなグラデーションで配色されたボーダー。 さくらんぼとブランドロゴのワンポイント刺繍をさり気なく。 生地は一級遮光、遮熱仕様 ［SONIA RYKIEL］（真田商事　￥10,500）
		大柄がらのチェックが鮮やか。縁に施されたブルーのステッチがポイント。 中棒・手元一対タイプを採用し、ナチュラル感をプラス。 ［mimi pinson］（田中久　￥6,825）
		カボチャのフォルムが特徴の純パラソル。裾は波型にカットし、エレガントな装いに。 手元は寒竹にひねりを加えた個性的なスタイル。 ［DiCesare Designs］（ムーンバット ￥21,000）
		SONIA RYKIELで人気のフルーツ柄がらをワンポイント刺繍。 ボーダーも涼しげで春夏シーズンにぴったり。 ワンランク上の服装とのコーディネートに。 ［SONIA RYKIEL］（真田商事・田中久　￥10,500）
		メッセージの意味は「マンハッタンの散歩って、すごくいい気分」。 カジュアルなチェック柄がらと寒竹の手元の組み合わせ。 ［Manhattan Humanity「フィール・ソー・グッド」］（カネイ ￥9,450）

ブームの「和もの」をパラソルでも

近年、女性の間では、戦国武将などに熱中する「歴女」や、お寺巡りが好きな「寺ガール」などの「和もの」ブームが継続している。また、浴衣や着物にも人気が集まる。古き佳き時代の日本を見直す機運が高まっているようだ。 　 2012年新作パラソルでも、「和もの」のラインナップが多い。特徴は、単なる「和風」、「和調」というレベルを超え、日本の伝統や文化をモチーフにした 本格派が目立つことだ。例えば、葛飾北斎作『富嶽三十六景』の絵を、上品に晴雨 兼用パラソルに仕上げた(a) ［葛飾北斎］（オーロラ ￥7,350）。 また、京友禅により透け感のある麻に桜模様を染め出した(b) ［eight tokyo］（エイト ￥12,600）。 いずれも、「和もの」に関心を持つ女性の心をくすぐる逸品である。 　手元や石突なども含めたトータルデザインは、現代風にアレンジされたモダンジャパニーズスタイル。 和装・洋装を問わずマッチするのが嬉しい。旬の「和もの」アイテムとして、今シーズンのファッションに取り入れてはいかが？

　
 

男性も日傘を定番アイテムに

エッセー集『男の日傘』（渡辺哲雄著）が話題だ。表題作では、著者が日傘を買って使い、快適さを実感したものの、周囲の視線が気になり戸惑うという男性心 理を、軽妙なタッチで描く。こういった書籍をはじめ、雑誌、新聞、Webサイトなどで、紳士用パラソルが話題になる機会も多くなっている。 　そんな中、今年も紳士用の新作が発売されている。注目は扇風機付きのパラソル(c) ［COOLFAN BRELLA］（エイト ￥8,190）。手元のボタンを押すと内側のファンが回り、涼風を送る。 UVカット、一級遮光機能もある。 　本格的な雨にも対応できる、晴雨兼用パラソル(d) ［ボルサリーノ］（オーロラ ￥6,300）も要チェックだ。一級遮光、遮熱、UVカットの機能性も備える。 　あるいは、ファッション性重視のパラソル(e)［かさ工房］（ワカオ ￥9,450）はどうか。手元と石突は、皮を剥き焦した「エゴ」の木を使用。手元は握りやすい大きさだ。見た目はおしゃれ。折りたたみ式なので携帯にも便利だ。 　昨今の酷暑、紫外線への対応――。聞くところによると、日傘を使う男性は着実に増えているようだ。“気恥ずかしさ”を乗り越え、夏の定番アイテムになることを期待したい。