日本橋髙島屋 大戸純子さん

2012.03.27


国の重要文化財に指定されている日本橋髙島屋。歴史を感じさせる重厚な建物の1階に、洋傘売場は展開されています。天井付近のディスプレイには、4つ傘が飾られ、華やかな雰囲気。品物も整理され、見やすそうです。伝統的な百貨店の売場とはどのようなものか。アンブレラ・マスターに話を聞いてみました。


Q.どのようなお店ですか?
A. 9月~翌年2月の下期は紳士傘、婦人傘合計で900本前後、3月~8月の上期になると、それにパラソル約1100本(最盛期)が加わります。パラソルは雨傘売場の1.5倍ほどの別のスペースで展開されます。売場の特徴は、ブランドものの一般的な長傘、折りたたみ傘のほか、多間傘を多く取り揃えていることです。多間傘は人気が高く、高価格帯のものでも、売行き好調。家族でそれぞれ一本ずつ購入される方々もいらっしゃいます。そのほか紳士傘が全体の3割と、やや多めに置いていることもポイントです。

Q.天井付近に4つの傘を飾るディスプレイが印象的です。
A. ディスプレイは、季節感がある色柄(がら)を飾るように心がけています。できれば1週間に1回、最低でも2週間に1回は模様替えをします。頻繁に来店される固定客の方の中には、ディスプレイを楽しみにされている方もいて、内容を替えると、逆にお客様から声を掛けていただく場合もあります。その意味では、接客のきっかけにもなっていますね。

Q.ディスプレイによって売行きが変わることもありますか?
A. 特に反響が大きいのは、猫のイラストが描かれた傘を展示したとき。猫好きの方は多いようで、飾ると必ず売行きが上がります。ご自分用とお友達用として、2、3本まとめて買われる方もいらっしゃいます。ですから、猫のイラストの傘は、ある程度在庫の余裕があるときに飾るようにしています。

Q.お客様の特徴を教えてください。
A. 平日の日中は、ミセスの方が多いですね。お昼や夕方には近隣で働くOLの方がメインになります。最近は女性でも車を運転する方が増えているせいか、便利なワンタッチ傘を探しに来るお客様が多いですね。ただし、種類が限られているので、もっとバリエーションが欲しい、より高級なものが欲しいという要望はよく耳にします。また、耐風傘、紳士物の70㎝の傘も人気です。

Q.傘以外のレイングッズの売行きは?
A. 最近はレインコートがよく売れます。店頭には常に50着ほどを展開。雨の日、自転車に乗る際に必要ということで、フード付きの丈の長い実用的なタイプが売れ筋です。また、授業参観やお受験用に買われる方もいらっしゃいます。当日雨が降ることに備えて予め用意されるようです。売れ筋は紺や黒などの無地で、襟などにさりげなくドット柄のパイピングで飾られているものなど。定番だけどちょっとおしゃれなデザインが人気です。

Q.アンブレラ・マスター取得のきっかけを教えてください。
A. 私は2009年に洋傘売場の担当になり、その年に知識の必要性を感じて、取得しました。アンブレラ・マスターになったことで、接客に自信が持てるようになりました。ただ、傘は奥が深いアイテムなので、今も日々勉強中です。

当店で人気の傘


カーボン製の骨を使った軽量傘や猫のイラストのワンタッチ傘など、実用性の高いタイプが人気。多間傘も売れ筋。

アンブレラマスター傘への思い

代々受け継がれる修理技術

売場では独自のサービスとして、簡単な修理にはその場で対応しています。糸がほどけた箇所の口とじ、中とじはもちろん、露先や石突、手元などのパーツも用意し、販売員が取り付けや交換などの修理をしています。手が空いていれば、すぐに直しますし、混雑している場合でも時間をいただいてその日のうちにお渡しするようにしています。なお骨折れなどのトラブルについては、メーカーでの修理となります。
修理の技術は売場の先輩に教わりました。昔からのサービスで、代々受け継がれています。また、洋傘メーカーの詳しい方から教えていただくこともあります。
最も多くなるのが夏場で、パラソルを中心に月に30本以上は自分たちの手で修理します。売場のスペースは狭く、その場で対応するのが厳しい状況もありますが、早く直してさしあげたいという想いで、できる限り対応しております。お客様が喜んでくださることが、一番のやりがいですね。

ピンポイントで傘を薦める

接客は、買う傘がおおよそ決まっている方と、私たちに一から探してほしい方とでは、当然異なります。探してほしい方には、今持っている傘のタイプや好みを聞き、服装を拝見し、自分の中で「これ」という傘を1本決めて、開きます。何本も同時に開くと、お客様が混乱し、迷って収拾がつかなくなるからです。その1本をお客様が気に入ってご購入いただくことも多いです。接客の楽しさを実感する瞬間ですね。
元々、傘は好きでした。ですから、洋傘売場の担当になってからは、毎年新作を見るのが待ち遠しくて、メーカーの展示会に行くときはいつもワクワクしています。気に入ったものはつい買ってしまうので、自宅の傘は年々増え、今は雨傘とパラソルがそれぞれ6本ずつくらいあります。その日の服装に合わせて使っていますね。
パラソルの場合、遮光や遮熱などの機能が毎年改良されているので、今後も楽しみです。ただ、自宅の傘がどんどん増えそうな気もします(笑)。


店舗紹介

日本橋髙島屋

住所:東京都中央区日本橋2-4-1
TEL:03-3211-4111(代表)
アクセス:東京メトロ銀座線・東西線「日本橋駅」から徒歩1分
ホームページ:http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/
概要日本橋髙島屋は、1933年に開店。2006年に建物が東京都の歴史的建造物に選定され、09年には国の重要文化財に指定された。洋傘売場は、北駐車場口から入ってすぐの場所に展開されている。


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※記事の内容は2012年3月現在のものです。

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