静岡伊勢丹 植田真梨子さん

2012.03.29


静岡駅前から延びる目抜き通りをしばらく行った、静岡県庁や市役所などが集まる中心街に静岡伊勢丹は店舗を構えています。洋傘売場は正面玄関から入り、右手奥です。訪ねると、ちょうどアンブレラ・マスターの植田さんは接客の最中。別々のお客様に手際よく対応し、それぞれにピッタリの傘を素早く選び出します。好みの傘を手にしたお客様は実に満足そうです。


Q.別々に来たお客様に同時に接客し、2人とも購入に結び付きましたね。
A. 一方のお客様は、バラの柄の傘を以前持っていたが無くしてしまい、また買おうと探していらっしゃいました。すぐにその方の雰囲気にピッタリのバラの傘が浮かんだので、おすすめしたところ、気に入っていただきました。もうひとかたは、春夏の新作で好みの柄を見つけたものの、淡い色合いを見て少し迷われている様子でした。秋冬物の似た柄で、明るいタッチのネイビーの傘がいいと思って紹介すると、普段の服は黒が多いので、これならコーディネートできると、喜んでくださいました。

Q.それにしても、見事な手際でした。ところで、途中で売場を離れ、奥から傘を持ってきていましたね。
A. 売場面積が限られ、仕入れた傘をすべて陳列することはできないので、お客様の要望に合ったものを倉庫から出して紹介していました。いわゆるストック販売です。ですから、お客様の話を聞くことが非常に重要。イメージした傘が店頭になければ、素早く持ってきます。お客様を待たせないことがポイントです。

Q.お客様の傾向は?
A. 40代以上のミセス、60代以上のシニアのお客様が多いですね。色目は、パステル調のピンクやベージュが人気です。私は洋傘売場担当になって4年目で、当初は黒やネイビーを選ばれる方が多かったのですが、最近は明るい色が好まれるようになっています。お客様は差した時の顔映りを気にされて、明るい色を選ばれているようです。また、以前はシンプルなデザインが人気でしたが、今は、柄があるもの、無地でも地模様が入っているものなど、装飾性のあるものがよく売れます。傘はファッションアイテムであるという意識が高まっているのでしょう。

Q.その場での修理にも対応されているようですね。
A. 口とじや中とじなど簡単な修理を、混んでなければ5分程度で対応しています。料金は無料です。修理方法はメーカー主催のセミナーで習いました。覚えたての頃は上手くできず、セミナーでいただいた練習用の傘で何度も練習しました。その後ワンシーズンに30本ほど修理し、ようやくこなせるようになりましたね。なお、骨折れなどは、時間をいただき、メーカー修理に出します。

Q.アンブレラ・マスター取得の経緯を教えてください。
A. 先に取得した販売員が長期休暇や勤務時間の短縮のために売場にいない時間帯が多くなり、もう1人必要というマネージャーの判断で受けることになりました。知識を得ることで、深い接客ができるようになったり、資格取得者ということで、お客様に安心感を与えられるようになったりしたことが、メリットですね。また、試験前の講義で製造工程のVTRを見て、多くの職人の手で丁寧に作られていることを知り、お客様により大切に扱っていただきたいという想いが強くなりました。

当店で人気の傘


最近はピンクの傘が売れ筋。上品な花柄のワンタッチ傘も人気が高い。

アンブレラマスター傘への思い

週末は家族、平日は男性客が進物選び

週末は、ギフト需要が多くなります。母娘や夫婦が友人や親せきへのプレゼントを、ゆっくり話し合って決めるケースが増えるからです。週末は家族でプレゼント選び。これは、静岡伊勢丹の洋傘売場の特徴の1つだと思います。
一方、平日は、男性の方が、女性へのプレゼントとして買われるケースが増えています。相手に傘が欲しいと言われたり、せっかくだから末広がりの縁起物の傘を贈ろうと考えたり。あるいは、既にハンカチや靴下は贈ったことがあり、洋服はサイズがわからないので、誰でも必ず使う傘をプレゼントに最適と考える方が多くなっているようです。
男性のお客様の場合、相手のインスピレーションから何本かご自身で選ばれ、年齢やいつもの雰囲気を私たち販売員に伝えられ、アドバイスを求められることが多いです。私たちは経験から判断することができますので、ぜひ相談していただければと思います。

接客ではとにかく傘を開く

接客では、お客様の話を聞いて、イメージに合う傘をできるだけ多く開くようにしています。深張りなどのフォルム、柄の全体像、見た目が可愛いかなどは、開いて初めてわかるからです。時には、ストックから何本も出し、接客に時間がかかることもあります。でも、最終的にお客様が購入を決め、「多くの傘を開いてくれたおかげ」、「自分1人では選ばないような柄が見つかり嬉しい」などと喜んでいただけることも多いですね。
また、商品のお渡しの際には、点検と取扱いの説明に力を入れています。取扱いでは、伊勢丹オリジナルのミニブックを差し上げています。防水スプレーの効果的なかけ方、汚れの落とし方などが書かれ、お客様にも好評です。
ところで、私は雨傘を4本持ち、雨の日は服装に合わせたり、気分を上げたいときにオレンジの傘を差したりしています。お客様にも複数本を持って、傘選びをする楽しさを伝えていければと思います。


店舗紹介

静岡伊勢丹

住所:静岡県静岡市葵区呉服町1-7
TEL:054-251-2211
アクセス:JR静岡駅北口徒歩15分
ホームページ:http://www.isetan.co.jp
概要:静岡伊勢丹は、2012年に35周年を迎えた地元市民に愛される百貨店。1階洋傘売場では、時間をかけてゆっくり選ぶ女性客が多い。


大きな地図で見る

※記事の内容は2010年3月現在のものです。

ページトップへ

  • 街角傘美人
  • アンブレラマスター紹介
  • アンブレラ・マスターがいるお店