髙島屋堺店 中村美重さん

2012.02.28

大阪府のほぼ中央に位置する政令指定都市・堺市。その中心街にある南海電鉄高野線・堺東駅に、髙島屋堺店は直結しています。そして、駅改札を出て、そのまま店舗の3階入口を入ると、すぐに見えてくるのが傘売場です。リピーターも非常に多いという傘売場が、地元のお客様に愛される理由は、意外なところにありました。
 

A.

売場面積は約20㎡で、通年の商品点数は、長傘約270本、ミニ傘約250本、折りたたみ傘約90本が基本。ブランド傘を中心に、婦人傘8割、紳士傘2割の構成で、5000円～1万円の傘が中心です。ただし、晴雨兼用パラソルの入荷がピークとなる4月には売場は2倍強になり、最大で1000本以上を店頭に並べます。その他、5月の母の日に向けたキャンペーン、6月中ごろからのレインフェアでも、通常より多くの品揃えを展開します。
 

Q.

それぞれのイベントの特徴は？

A.

母の日では、長傘、ショート傘、折り・ミニ傘にそれぞれ対応した3種類のプレゼント用パッケージを用意。また、レインフェアでは、レインコート、サイクルコート、レインシューズ、レインハットなどのレイングッズも数多く取り揃えています。堺東駅近辺では、通勤や買い物に自転車を使う方が多く、レイングッズは非常によく売れますね。
 

Q.

お客様の傾向を教えてください。

A.

平日の昼間は多くが地元のお客様。年配の方がメインですね。ほとんど毎日来られる方もいます。雨の日には、持っていた古い傘の方を包んで、購入した新しい傘をそのまま差して帰られる方もいますね。一方、平日の夕方以降は、堺東駅周辺のオフィス街からのOLさんなどが多くなります。休日は、最近、近所に新築の大型マンションが建っている関係で、若いファミリーも増えていますね。
 

Q.

お客様の特徴はありますか？

A.

いずれの層のお客様も非常におしゃれな方が多く、「①人と違うもの」、「②デザインや色目が派手であるもの」を好み、「③自分の目でしっかり選んで買われる」ということが共通しています。特に③が顕著。これは大阪の女性の特徴かもしれません。さまざまな品物の中から自分が選ぶということ自体に価値を見出されているのです。ですから、品揃えのバリエーションや商品点数のボリューム感は不可欠な要素。品物の置き方も、雑然と見えないように気を付けながらもできるだけ棚一杯に並べるということを基本にしています。

Q.

年配の方にはどんな傘が人気ですか？

A.

無地かシンプルな柄（がら）が売れ筋です。色目は、洋服とのコーディネートが容易なベージュ系が圧倒的に人気。ベージュの濃淡で選ばれる方が多いですね。また、晴雨兼用パラソルでは、二つ折りのシンプルな折りたたみ傘が人気です。髙島屋の他店より、15％以上売れているというデータもあり、当店では、品揃えを充実させています。年配の方にとって、たたみやすく、カバンに入れて持ち運びしやすいというのが理由のようです。


■当店で人気の傘

年配の方には、軽量の傘が売れ筋。石突と手元が通常より短く、たたんだ時に持ち運びやすいタイプも人気です。若い方では、花柄の可愛らしい傘が売れ筋。



アンブレラ・マスター　傘への想い

時間を充分にかけた接客

年配のお客様が多い売場では、ゆっくりと選んでいただいたり、気軽に立ち寄っていただいたりできるように、心を配っています。少しでも気になる商品があれば、どんどん広げて、鏡で差した雰囲気を見ていただきます。特にお顔映りがポイントです。同じベージュでも濃淡により大きく変わるので、お客様が納得される色が見つかるまで、何本でも、確認していただきます。傘は長く使うものなので、迷って当たり前。一番気に入ったものを選びたいという気持ちを、何とかかなえたいという想いで、日々接客しています。
購入後の取り扱いの説明にも、十分な時間を割きます。使用時は軽く振って開きやすくすること、使用後も軽く振り、雨粒を落とすことなど、一つひとつ丁寧にお伝えします。
傘を特に見ないで、世間話だけされる顔なじみのお客様も多いですよ。ご家族のこと、お孫さんのこと……。私も会話を楽しむようにしています。そうやって気軽に話をしていただき、傘が必要になった時に「どうせならいつもの高島屋堺店で」と、来ていただければいいなと思っています。

地方の百貨店で傘を買う理由

先日、急な雨で、ビジネスマンの方が「ビニール傘がほしい」と、来店されました。ただ、売場ではビニール傘を置いていない。そこで、駅前のコンビニをご案内したところ、「親切な対応が気に入った」と、売場の傘を買っていただきました。安価なビニール傘を求めていたのに、何だか申し訳ないような気持ちになりましたね。でも、こうした「情が厚い」ところは、地方都市のお客様の特徴かもしれません。
今後も正直に、丁寧な接客を心掛けていきたいと思います。髙島屋堺店の傘売場で扱っている傘は、ほとんどが他の百貨店でも購入できます。梅田や難波の百貨店に行けば、数倍以上の品揃えの中から選ぶこともできる。そこで、あえて売場の小さい、商品の少ない地方の堺店で買っていただくには、一人ひとりのお客様とのつながりを大切にすることが、何よりも重要なことだと考えています。
しゃべるためだけに立ち寄られるお客様も歓迎。当店にない傘を探しに来られるお客様も歓迎です。今後も徹底したお客様重視の姿勢で、接客に励みます。



店舗紹介

髙島屋堺店

住所：
大阪府堺市堺区三国ヶ丘御幸通59番地
TEL：
06-6361-13811（代表）
アクセス：
南海電鉄堺東駅直結
ホームページ：
http://www.takashimaya.co.jp/sakai/
概要
髙島屋堺店は東京オリンピックが開かれた1964年に開業。傘売場は2002年の全館リニューアルで増床。地元を中心に多くの常連が日々訪れる。

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※記事の内容は2012年2月現在のものです。