松坂屋名古屋店 比留間 捨造 さん・金山 由依 さん

2011.03.01

松坂屋名古屋店は日本最大級の売場面積を誇り、開業から400年の老舗。その本館1階に傘売場はあります。壁の高い位置に展示された鮮やかな傘が目印となり、遠くからでもその場所がキャッチできます。出迎えてくれるのは、若い世代のアンブレラ・マスターたち。豊富な知識とフレッシュな感覚で、幅広い年代の傘選びをお手伝いしています。

Q.
売場の様子を教えてください。
A.
比留間さん雨傘については、常時500~600本を展開しています。ポイントは棚などに商品を出し過ぎないことです。見た目が肝心ですからね。パッと見た第一印象で寄ってみたいなと思っていただけるように、スッキリとキレイな置き方をいつも意識しています。あとは販売員が接客の中で、必要に応じて倉庫のストックから商品を出して紹介するなど、臨機応変に対応しています。また、日傘については3月頃から通路をはさんだ向かい側の売場で「季節品」として展開しています。
 
Q.
客層については?
A.
金山さん平日のメインは50代以上の女性です。土日は20代、30代の家族連れも多く来店されます。ですから、売れる雨傘の傾向も平日と土日では異なります。例えば、平日は年配の方に人気の軽量傘やジャンプ傘など機能性重視のアイテムが売れ筋となり、土日は若い方が好むデザイン性の高い傘が多く出ます。一方で人気の色も傾向があります。集計を取ってみたのですが、ダントツに人気だったのがベージュとピンクです。やはり、顔の近くで使うアイテムなので、明るい色が好まれるようですね。
 
Q.
ところでいつから傘売場の担当に?
A.
比留間さん私は2007年入社で09年3月から配属となりました。それまで傘に特別な思い入れはなかったのですが、いざその世界を知ると、これが非常に面白かった(笑)。傘にも色々な種類があり、パーツがあり、それぞれに機能がある。さらに生地のがらも小間ごとにきちっと計算されて描かれていたり、あるいは一枚張りの生地に大胆に表現されていたり。それぞれの傘に様々な工夫があり、その魅力に次第に引き込まれていきました。今では傘を見ればどこに工夫点があるのか、すぐにわかります。
金山さん私は2009年の入社以来傘売場の担当です。最初に売場の先輩から傘のパーツの名称を教えられ、普段何気なく使っているアイテムのパーツに、一つひとつ「露先」や「石突」、「菊座」といった名前が付いていたことに衝撃を受けました(笑)。これは聞くだけでは覚えられないと、ノートに傘の絵を描いて、しっかりとメモも取りました。パーツの名前を覚えてからは、傘に対して愛着がわくようになりましたね。
 
Q.
アンブレラ・マスター取得のきっかけを教えてください。
A.
比留間さん傘に資格があると聞いたとき、単純に2つの点で面白いと思ったのがきっかけです。まずはそのインパクトの強さ。傘の資格を持っているといえば、誰もが興味を示すでしょう。そして、もう1つは日常的なアイテムについて深い知識を得られること。皆さんにとっては単なる普通の傘ですが、その普通のものに対して私が非常によく知っているという“ギャップ”が、何とも面白いなと感じ、受けてみることにしました。
金山さん私は実は資格を取るのが非常に好き(笑)。他にも色彩検定1級、ギフトアドバイザー2級、販売士3級の資格を持っています。傘の資格があると聞き、これは受けねばと即決しましたね。資格取得は勉強して新しい知識を覚えていく過程が楽しいです。
 
Q.
資格は接客で役に立っていますか?
A.
比留間さん:お客様が贈答用の傘を選んでいるときに、ポツリと「確か傘にも資格があるのよね」と言われ、「実は私もその資格を持っています」と答えたら、その後の接客がスムーズになりました。自分の話の説得力が増す効果があり、取得して良かったなと思いましたね。
金山さん:以前は先輩やメーカーの担当者から聞いた知識をベースに接客していましたが、新たにテキストやDVDで正確な知識を学ぶことができました。より自信を持ってお客様に傘のことを伝えられるようになったことに、大きなメリットを感じています。


■当店で人気の傘

ベージュやピンク系の明るい色合いの傘が売れ筋です。16間の多間傘も傘好きの方々に人気の商品です。


アンブレラ・マスター 傘への想い

アフターケアと面白さのアピール  

金山さん  :私たちの傘売場の強みは、アフターケアがしっかりしていることです。購入されるお客様には、何か困ったことがあったらいつでも持ってきてくださいと伝えるようにしています。修理して大切に使う方は多いですね。梅雨明けのピーク時には1日10本以上修理依頼を受けることもあります。長年使ってきた愛着のあるものだったり、親しい方からの贈り物だったり、中には古いタイプの傘もあります。でも、大事なものなのでどうしても元の形にしてほしい。そんな思いで傘を託されます。私たちのほうでも何とか希望をかなえるために最善を尽くします。
比留間さん:私はなるべく自分が面白いと思った点を接客で紹介できればと思っています。タイミングは、お客様が棚から傘を手に取ったとき。色やデザインなど何かしら気に入っているわけですから、私からはその商品をさらに好きになるような情報を提供します。例えば構造上の珍しい点を説明したり、留め金のデザインの特徴を詳しく伝えるなどです。そのひと言が購入につながり、お客様の生活の中でお気に入りのアイテムが増えることは、非常に嬉しいことですね。





若い世代にも注目される存在に 

金山さん   :松坂屋は400年の歴史があります。この伝統や格式は得難いステータスです。長い間築き上げたお客様との関係をさらに良いものにするために、今の担い手として恥ずかしくない販売サービスを意識しています。ただし、歴史や伝統は一歩間違えると、新しいことに挑戦しにくい風土を作ってしまう場合もあります。そうならないために、私たちが重視するのが品揃えです。新規性のあるデザインや従来にない価格帯など、常に新しさを取り入れる努力をしています。伝統を守るというより、伝統を未来につなぐイメージです。
比留間さん:そうすることで、400年経ってもフレッシュな情報を、常に発信し続けられる売場を目指します。今まで松坂屋で傘を買ったことがない、特に若い方々に、松坂屋の傘売場にはこんなにかわいい傘があるんだと、注目されるような存在でありたいですね。また、来店していただいたお客様への接客では、「楽しさ」を提供できればとも考えています。商品の見せ方、話の内容などにはいつも工夫を凝らして、それを実現していけたらと思います。




店舗紹介

松坂屋名古屋店

住所:
愛知県名古屋市中区栄3-16-1
TEL:
052-251-1111(代表)
アクセス:
地下鉄名城線矢場町駅直結
ホームページ:
http://www.matsuzakaya.co.jp/nagoya/
概要
「いとう呉服店」として創業した江戸時代から続く老舗。2011年に創業400周年を迎えた。本館、南館、北館で構成され、傘売場は本館1階に設けられている。
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※記事の内容は2011年3月現在のものです。

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