NIWA 丹羽 加陽子 さん

2011.03.01

神戸や大阪が通勤圏のベッドタウン・明石。駅に直結するショッピングモール「ステーションプラザ明石」の中に、傘や洋品を販売するNIWAはあります。創業は1916年というから、100年近く続く、老舗中の老舗です。創業者は店頭に立つ丹羽加陽子さんの祖父。傘は昔も今も看板商品です。

Q.
NIWAは歴史があるお店ですね。
A.
祖父が商売を始めたのが大正時代の初めで、主力商品は傘でした。最初は今店がある場所から少し離れた商店街で開業しました。父は報道カメラマンの道に進んだので、代わりに母が継ぎ、毛皮やストールなどに商品を広げながら、店を切り盛りしました。その後、この明石駅のショッピングモールが1960年代半ばにオープンするときに、モール内への出店の誘いを受け、店は移転。私は大学卒業後に会社に勤めましたが、2年ほどで退社し、1998年に店を継いで店長になりました。
 
Q.
老舗を継ぐのは大変なことだと思います。
A.
小さいころから母に連れられ傘の展示会に行ったり、学生の頃は店を手伝ったりしていたので、この商売には慣れているつもりでした。でも、実際に店頭に立つと、「いらっしゃいませ」のひと言がいえない。傘の接客は話を聞いたり、説明したり、傘を広げたりと、密度が濃く、時間が長くなることが多いです。そこで何を話せばいいのか戸惑い、消極的になってしまったのだと思います。でも、当店には母の代から働いている優秀なベテラン販売員がいます。接客が本当に上手です。その人たちに接客を教わり、何とかやってくることができました。
 
Q.
どんな店ですか?
A.
雨傘は常時約200本展開しています。3月以降はこれらに加え、日傘が500本以上並びます。婦人傘が4分の3、紳士傘が4分の1、キッズ傘も少し置いています。ギフト用に購入される方が多いので、相応の高級傘を必ず置くようにしています。品物はメーカーの展示会に行って、「差してみたい!使ってみたい!!」と思うものを揃えるようにしております。自分の好きなものなら自信を持ってお客様に薦められますから。また、客層は平日の昼間は主婦の方、夕方以降は勤務先の大阪や神戸から帰宅する途中のOLの方が中心となります。明石駅は乗降客数が多く、夕方は特に電車が着くたびに忙しくなったりすることもあります。
 
Q.
売れ筋の傘は?
A.
婦人傘では、年配のお客様に人気なのが比較的短めの傘です。58cmの傘はよく出ますね。年配の方の多くは、58cmくらいが持ち歩くにも、差すにもちょうどいいサイズのようです。また、若い女性には多間傘が人気です。和調で、少し風変わりで、ファッショナブルな点が、人気の秘訣のようです。一方、男性は折りたたみ傘を買っていかれる方が多いです。男性は利便性を重視する傾向が強いですね。
 
Q.
アンブレラ・マスター取得の経緯を教えてください。
A.

取得しようと思ったきっかけは、傘の修理を受けるときに、より深い知識が必要だと思ったからです。機能や部位、構造などを勉強し、故障箇所や修理方法を正確に説明できれば、お客様も安心されます。また、展示会に行って品定めをするときにも、知識は役立ちます。今後は、修理を受けるときだけでなく、接客全般で知識を活かしていければと考えています。


■当店で人気の傘

16本の親骨を使った多間傘が若い女性に人気。花柄や水玉ドットなど女性らしいデザインもよく売れている。



アンブレラ・マスター 傘への想い

傘を大事に使うお客様への感謝


私が祖父について覚えているのは、傘の手元に電動カッターで名前を彫っている姿です。この名入れは祖父独自のサービス。子どものころのことですが、今でも時々思い出します。そんな祖父を知るお客様が今も来店されます。祖父から買った傘を修理してほしいと依頼を受けることもあります。「気に入っているから、どうしても直してほしい」と。祖父の傘を大事に扱っていただき、本当に有難いと思います。部品がないなど受けるのが難しい場合もありますが、メーカーにお願いして、できるだけ希望に沿えるようにしています。
修理といえば、傘を売るときに、極力修理に出すことがないよう、使い方やケアは丁寧に説明しています。はじきカバーのある傘の開き方、折りたたみ傘は骨を一本、一本折ってからたたむこと、使用後は陰干しをすると長持ちすることなどです。今後も大事に使うためのコツは、積極的に伝えていきたいですね。




傘を大事に使うお客様への感謝

祖父の代で扱っていた商品は、傘や毛皮、ショールでした。店を継いだ母は、それに加えて、バッグ、帽子などの婦人雑貨を置くようになりました。母は、神戸や大阪から明石に立ち寄り、店にたまたま来たお客様が、「明石の店にもこんなにキレイなものが置いてある。明石も楽しいね」と思っていただけるような店を目指していました。 そして、母からバトンを渡された私は、さらに雑貨の点数を増やしました。今は傘よりも雑貨が多くなっています。私が目指しているのは、「親子三代で楽しめるお店」。祖父の代のお客様が、自分の娘や孫を連れて来店され、皆さんがそれぞれ自分に合ったものを選べるような品揃えを心がけています。だから、若い女性向けに雑貨も多く揃えるようにしています。傘についても同様です。今後もバリエーションを充実させ、どの年代のお客様も満足できる店作りに取り組んでいきます。








店舗紹介

NIWA

住所:
明石市大明石町1-1-23ステーションプラザ明石西館
TEL:
078-918-7632(代表)
アクセス:
JR明石駅直結
ホームページ:
http://niwa.holy.jp/
概要
1964年にステーションプラザ明石のオープンとともに開業。阪神大震災後にリニューアルした。傘のほか、帽子、ストール、手袋、タオル、ポーチ、お弁当グッズなどの雑貨も充実。
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※記事の内容は2011年3月現在のものです。

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