小田急百貨店新宿店 阿部渚さん

2010.06.24
 



JR東日本や京王線、小田急線、東京メトロ、都営地下鉄が乗り入れ、1日の乗降者数世界一(平均346万人)ともいわれる新宿駅。駅に直結する小田急百貨店では本館3階に、傘売場を設けています。2008年9月にリニューアルした売場は広々とし、ゆったりと好みの傘選びが楽しめそう。もちろん、アンブレラ・マスターが、しっかりと助言・サポートしてくれます。

Q.
どのような売場ですか?
A.
梅雨のシーズンが最大の展開となり、店頭には雨傘が約700本、パラソルが約400本、合計でおよそ1100本を並べています。 VP(ビジュアル・プレゼンテーション、店内のショーウィンドウやステージ、特別なイベントスペースで重点商品を効果的に展示・訴求すること)は、1~2週間ごとに入れ替え、ブランドや暦のイベント(ホワイトデー、母の日、クリスマスなど)をテーマとした展示をしています。傘の種類はブランドものから機能性重視のものまで各種取り揃え、価格やデザインなどを基準に、ミセスの方向けのゾーンと、ヤングの方向けのゾーンに分けて、展開しています。
 
Q.
売場にはミセスのお客様が多いようですね。
A.
ミセスの方が7割くらい、2割強が若いOLの方、残りの1割弱が男性のお客さまとなります。ミセスの方の売れ筋は軽いタイプ。また、ブランドよりもデザイン優先で選ばれ、特に売れているのが、表生地が無地で、裏生地の全面に小花がプリントされたものです。毎年コンスタントに売れていきます。この傘を雨の日に差せば、相手と対面するときに自分の背景にたくさんの小花が咲いているように見えます。非常に華やいで見えるわけです。店内の姿見でそうした状況も想像されて、お客様は購入されます。一方で、若い方は好きなブランドを買われる傾向が強いように思えます。さらに、繊細な刺繍、細かなタッチの全面プリント、ダーク系の無地に赤い花といったコントラストの強いものなど、印象的なデザインも人気ですね。
 
Q.
最近、プレゼント用に傘を購入される方も増えているそうですね。
A.
従来は自分で使うために買う方が多かったのですが、2009年末ごろから親戚や友人、ご近所の方へのプレゼント用に購入される方が増えています。特徴的なのが、相手先のご夫婦に対して、婦人用、紳士用をセットで贈られる方が多いということ。プライベートな方々に日ごろの感謝を込めてプレゼントするという傾向が強くなっているのでしょう。傘は5千円~1万円で購入できる値ごろ感のある商品であり、実用的なので、贈った相手にも非常に喜ばれるということもポイントです。
 
Q.
アンブレラ・マスターについて、取得されたきっかけとメリットは?
A.
売場ではアンブレラ・マスター認定試験の第1回(2006年)、第2回(2008年)で合格した販売員が何名かいたのですが、人事異動などで少なくなり、認定者を増やすために第3回(2009年)に売場担当の社員数名とともに受けました。傘に関する知識が充分に身に付き、お客さまに対して自信を持って積極的に声をかけられるようになりましたね。カーボンの骨を使った傘を目当てに来店される方などに対しても、部位や構造などに関する専門知識を使って正確な対応ができます。傘についての豆知識やちょっとした小話も披露できます(笑)。さらに、合格者限定の傘の修理セミナーを受講し、簡単な修理(生地と骨を縫い合わせる中綴じなど)であれば店頭でできるようにもなっています。こうしてサービスの幅が広がったことが資格を取得したメリットです。


■当店で人気の傘

雨傘では軽量のもの、パラソルでは一級遮光生地を使用し、携帯に便利な軽量の折りたたみタイプがよく売れています。


アンブレラ・マスター 傘への想い

リピートにつながる接客

お客様に傘をご提案するときは、まず、普段どういった服をお召しになっているかを聞きます。例えば、ベーシックな色や黒、モノトーンが多ければ、逆に差し色として華やかな色の傘を薦めます。傘の開き方などの使用方法についても、一つ一つの金具や部位に対して丁寧に説明し、室内で陰干しするなどアフターケアもしっかりとお伝えします。日本洋傘振興協議会が発行している傘の扱い方、ケア方法などを解説した小冊子もお渡ししています。こうした接客時の様々なサービスは、私たちの売場の差異化のポイントであり、次回からも購入される動機につながると考えています。実際に、プレゼント用の商品を購入されたお客様が、後日再来店され、同じものをほかの方に贈りたいと依頼されるなどのケースもあります。その際、丁寧な接客や薦めた商品をほめられることもあります。そうしたお客様の直接のお言葉が一番嬉しく、励みになりますね。



見やすい、取りやすい、にこだわる

また、ディスプレイでは、「見やすい、手に取りやすい」をポイントにしています。そのため、棚やハンガーには余裕を持って、定数・定量で商品を陳列しています。隙間がないほど並べてしまうと、見づらく、取りづらく、さらにスグに陳列が乱雑になります。後からいらっしゃるお客様に不快感を与えることにもなりかねません。ですから、例えば、ハンガーの場合、1つのハンガーに対し6型×4色、合計24本が定数・定量の目安となります。陳列しきれない分は、倉庫に保管し、お客様の要望があればお見せするようにしていますね。
一方棚に置く折りたたみ傘では、定数・定量を守るとともに、棚ごとに無地系、柄系などに分けて陳列しています。 無地系は上の棚に置き、下の棚に行くほど柄がはっきりしてくるなど、グラデーションを付けるような工夫もし、全体の見た目も美しく見せています。お客様には、こうした見やすい、手に取りやすいにこだわった売場で、ぜひお気に入りの一本を見つけていただければと思います。



店舗紹介

小田急百貨店新宿店



http://www.odakyu-dept.co.jp/shinjuku/
住所:
東京都新宿区西新宿1-1-3
TEL:
03-3342-1111(大代表)
アクセス:
新宿駅直結
ホームページ:
概要
1962年開店。段階的リニューアルに伴い、洋傘売場は、2008年9月から現在の本館3階のスペースに展開することとなった。リニューアルの狙いは、従来のミセスのお客様に加え、20代、30代の働く女性層の来店を増やすこと。実際に若いOLなどの来店が増えており、洋傘売場でも若い世代を対象としたコーナーを設けるなど工夫をしている。

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※記事の内容は2010年6月24日現在のものです。

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