ロシア編

2005.10.01

傘が結ぶ縁もある
ロシア人の日本みやげは洋傘


地球の陸地の約6分の1という広大な面積を誇る大国ロシア。ソ連邦崩壊以降、経済的な混乱状態が続いたが、ここ数年は安定化し、最近では新興工業国 Brics(ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字を並べた造語)の一角として注目を集めるようになった。今後、中国のように庶民生活が急加速的に豊かになることも予想される。

そうした大国復活の兆しが見られるロシアだが、傘事情に関しては、国土の大半が典型的な大陸性気候のため年間降水量は少なく、日本ほど傘を使う機会は多くない。しかし、「春夏の間、年によって時期がずれるが、1ヶ月くらい雨が多くなる期間がある。そのときは日本人と同様、男女ともに傘をさしている」と、日本在住のロシア人ジャーナリストは説明する。デザインやカラーは、男性が黒などダーク系、女性は花柄やカラフルな傘を好む傾向があり、「日本の雨の日の光景とあまり変わらない」とも。ただし相違点は、男女ともに使用する傘の9割以上が折りたたみ傘であること。携帯に便利なところが理由のよう。
また、一昔前の旧ソ連時代にはある傘が大流行していたと、ロシアの通信社の東京支局に勤務するスタッフは懐かしそうに振り返る。それは、ズバリ、日本製の洋傘。モノが良いと評価が高かったようだ。「オートマチックタイプ、コンパクトタイプ、そしてデザインがきれいな洋傘などが人気の的。今でも当時の印象が強く残っているのか、日本を旅行したときにお土産として買っていくロシア人も少なくない」という。ロシア人は欧州では珍しく“傘好き”な国民のようだ。
一方で、ロシアの首都モスクワでは、雨が降りやすい春でも「全く傘が必要ない日」もある。それは、5月9日の「戦勝記念日」。屋外で大式典が開催されるため、何と人工的に降雨を止めてしまうのだ。方法は、モスクワ市に雨雲が近づくと空軍機がスクランブル発進し、市郊外で雨粒の核となるドライアイスを散布。雨を誘発して、式典が行われるモスクワ中心部にたどり着く前に雨雲を消すというからスケールがでかい、というか大胆だ。これを毎日続ければ「モスクワは雨知らず」となるわけだが、1日の費用が約1億円かかるとか。やはり、傘は手放せない?!

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