かさ

2006.01.01
かさ作・松野正子 絵・原田治
(福音館書店・1985年刊)

 絵本出版社の老舗、福音館書店が1980年から刊行している「幼児絵本シリーズ」の代表的な作品。作画を担当するのは、日立製ルームエアコンの「しろくまくん」、カルビー・ポテトチップスの「じゃがいもくん」、そして、ミスタードーナツのプレミアムグッズなど、挙げ出したらキリがないほど多くのキャラクターデザインを手がけてきた、イラストレーターの原田治だ。原田治は、雑誌「an・an」の創刊号でイラストレーションの仕事をスタート。それ以来、広告業界を中心に活躍するかたわら、76年からキャラクターグッズの草分けである「OSAMU GOODS」を世に送り出し一大ブームを起こしたり、イラストの専門学校「パレットクラブスクール」を主宰するなど、多方面にわたって精力的に活動している。そんな広告界の超売れっ子が、幼児のために描いたのが、この絵本である。

 幼児向けということもあり、ストーリーは極めてシンプル。ひと目で原田治のものだとわかる愛くるしいキャラクターたちが次々と登場し、手に持つ様々な色の傘が紹介されていく。子どもたちが傘に親しむ様子もユーモアたっぷりに描写され、雨に打たれている犬を見つけて、「かさがないの いれてあげる」と、子どもならではの純粋で可愛らしい優しさも描かれている。

 全編を通して、幼い子どもが、雨の日に傘を差して家路を辿るときの、どこかワクワクするような気持ちが伝わってくるようであり、子どもたちを「雨が待ち遠しい」、「早く傘を差したい」気分にさせる一冊だ。

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