雨がくれる50のしあわせ

2003.01.01
「雨がくれる50のしあわせ」吉沢深雪
(大和書房・2002年6月刊)

 雨の日をステキに過ごす50のアイデアをイラストレーターである著者がエッセイとイラストで綴っている。

 「雨の日こそ、普段やらなくてはいけない大切なことができる日」。それはネイルケアやきれいな字を書く練習、料理や部屋の模様替えまで様々。

 「10.ミステリータイム」はユニークな例。「ドキドキする展開。ワクワクするストーリー。雨の音が、よけいにミステリアスな気分を盛りたてる」というように、雨が小説を読む気分を盛り上げてくれる。

 もちろん、傘についても取り上げられている。「20.カサは一本」は雨の日のデートで好きな人と大きなカサに一緒に入る気持ちが描かれたもの。「丸く切り取られたふたりだけのカサの空間は、雨も誰も、入ってこられない。どんなにカサの向こう側に、激しい雨が降っていたとしても、このカサの中だけは、やわらかな空気でいっぱい」。

 「36.カサの花」では、色とりどりの傘を花にたとえている。「雨の日だけ、見ることができる花、それは、カサの花。窓から外を眺めると、(できるだけ高いところの窓がいい)ブルーグレーの街にいろとりどりのカサが咲いている。赤いカサ、青いカサ、子供のカサ、おじさんのカサ……」。視点をちょっとずらせば、街中が花畑に変わる。そう、雨の日を楽しむコツは、普段とは視点を変えてみることが大切なのだろう。

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