イギリス編

2003.05.15

洋傘の本家でも「男は大きく、女は小さく」がトレンド


18世紀中頃のある雨の日。ロンドンっ子は目の前の光景に驚きを隠せなかった。ひとりの紳士が大きな円状の布の中央に1本の棒をさした異様なモノで雨をよけながら威風堂々と歩いているのだ。
この人物こそ、「ロンドンで初めて傘を差した男」の異名を持つ、旅行家ジョナス・ハンウェイ。彼によって英国にもたらされた傘はその後徐々に普及し、フォックスなどの高級傘メーカーも輩出した。そしていつしか、こうもり傘と山高帽の組み合わせは英国紳士の代名詞になった。
さて、時は現代。今のロンドンはというと、当然ながら傘を差した姿をもの珍しく眺める人はいない。
特に最近庶民派男性に人気を博しているのがゴルフコースで使用するような大きな傘。
「イギリス人は体格がいいから大サイズの傘が必要。とにかく人気で、夫も2本持っている」とは、イギリス人と結婚してロンドンに住む日本出身のAさん。
そんな大きなものだから、繁華街で皆がいっせいに差したら邪魔ではないかと余計な気を回したくなるが、
「通行人の半数は大雨でも傘を差さずにずぶ濡れになって歩いている」(Aさん)ので、うまい具合に間引きされて心配無用というわけだ。
一方、女性はというとコンパクトな折りたたみ傘が主流。ロンドンの雨は降ったりやんだりの繰り返し。雲行きが怪しいときは持ち歩いてスマートに使いこなすわけだ。 
でも、雨は強風を伴う場合が多く、折りたたみだとすぐに壊れてしまう。
「夫の母に相談したところ、『マークス&スペンサー』の傘は大丈夫ということで、早速購入した」とAさん。『マークス&スペンサー』は日用品を扱う有名スーパーで、傘売場の「絶対に壊れない」という売り文句が心強く胸に響いたという。
もちろん、フォックスなど老舗の高級傘も上流階級紳士の必須アイテムとして健在。きれいに巻かれたこうもり傘は今でも英国紳士の定番スタイルとして、しっかりと受け継がれている。


 

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