大丸心斎橋店 網野 由紀 さん

2011.07.20

日本の百貨店建築の最高傑作として名高く、1933(昭和8)年に作られた建物の外装や内装の多くが当時のまま残っている大丸心斎橋店。本館の心斎橋筋中央玄関から入って右手を、天井や柱の華麗で重厚な装飾に目を奪われながら進むと、傘売場が見えてきます。売場では、丁寧な接客を常に心がけているというアンブレラ・マスターが出迎えてくれます。

Q.
まずは売場の特徴を教えてください。
A.
ブランド傘や機能性の高い傘、レインコートや傘袋などのレイングッズなどを豊富に揃えています。 3月に雨傘の春夏の新作が店頭に並び、4月からはパラソルの販売が本格化、8月~9月に雨傘の秋冬の新作を展開するという、年3回の大きな動きがあり、売場の面積もそれに合わせて変わります。お客様については、大丸心斎橋店の以前からの顧客層である年配の方々に加えて、最近では20代、30代の若い方もよく売場に来ていただいております。
 
Q.
若い方がくるようになった背景は?
A.
昨年(2009年)11月に、本館の隣接する場所に北館が新装オープンし、その地下フロアにヤングカジュアルブランドやセレクトショップが集まる、「うふふガールズ」と称した衣料品・雑貨フロアを新設したことが大きいと思います。若い方がそのフロアに立ち寄った後に本館にも足を運び、傘売場でも買っていただく。そんな機会が多くなりましたね。また、「親子購買」というパターンもあります。お母様とお嬢様で来店され、お母様は本館で、お嬢様は「うふふガールズ」のフロアでそれぞれ買い物し、その後に一緒に傘売場を訪れ、購入されます。とにかくこうして若い方の来店比率が増えているのが最近の傾向ですね
 
Q.
売れ筋の傾向はいかがですか?
A.
私どもの売場のお客様は、明るい色が好きな方が多いですね。それも寒色系ではなく、ピンクやオレンジなどの暖色系がダントツで人気です。これは若い方でも、年配の方でも同じ傾向です。空が暗い雨の日には明るい色の傘を差したいと考えられる方が世代を問わず多いのだと思います。母の日などのプレゼント用として買われる方も、明るい色を選ぶ傾向が強いですね。贈る相手が年配の方でも、明るい色の傘を差して、若々しくあってほしいという、気遣いがあるのではないでしょうか。これらは大阪のお客様の特徴なのかもしれません。アンブレラ・マスターについて、取得されたきっかけとメリットは?

Q.

アンブレラ・マスターについて、取得されたきっかけとメリットは?

A.

上司にアンブレラ・マスターという資格があるので受けてみないかと薦められたのがきっかけ。メリットは、テキストで傘の部位の名称や構造などを細部にわたって勉強できたことですね。そこで得た知識は接客時に非常に役立っていますよ。売場には傘にこだわり持っていたり、詳しかったりする男性のお客様がよくお見えになり、素材で傘を選ばれることもあります。例えば「カーボンを使っている傘はどれ」ときかれることがある。以前であれば答えに窮していたかもしれません。しかし今は素材に対する意識が高くなり、それぞれの傘の素材を事前にチェックするようにしているので、「この傘とこの傘、それとこの傘です」と紹介できます。接客がよりスムーズになり、資格の取得効果を実感しています。


■当店で人気の傘

開いたときの浅張りの形がキレイな婦人ものの多間傘が売れ筋。可愛いイラストの傘も世代を問わず人気。また今年(2010年)からは一級遮光傘がよく売れるようになっている。


 

お客様の小物をチェック

アンブレラマスター傘への思い傘を薦めるときに特に注意して見るようにしているのは、お客様が身につけている小物ですね。例えば靴やバッグにどんな色のものを使っているんだろうと。そこにお気に入りの色のものを使うことって結構多いと思います。例えば、服装が地味な方でも、もし明るい小物、派手な小物を使っていれば、傘も差し色として明るい色を選んでいただけそうだなと判断できます。この方法で薦めると、買っていただけることが多いですよ。あとは、棚置きのディスプレイは見た目が乱雑に見えないように目を配っていますね。折りたたみ傘の値札やブランドのタグが見えていたり、垂れ下がったりしていると印象が悪いので、すべて品物の下に入れるようにしています。これはできるだけ徹底していますね。ディスプレイではそのほかにも、左から白、暖色系、寒色系、黒と配色を考えて順に並べるカラーライゼーションを意識。お客様の見た目の印象が少しでも良くなるように工夫していますね。

 

傘の扱い方のコツを伝える

お買い上げが決まった後も、丁寧に接客しています。傘の点検はもちろんのこと、扱い方の説明にも力を入れています。例えば、折りたたみ傘の扱い方でお教えするのは、まずは開き方から。新品では、生地を下ろして開こうとしても反り返ってしまうことが多いのですが、この場合、親骨(生地を張っている部分の骨)のダボ(先親骨と元親骨を連結するパーツ)を、内側から2、3ヵ所パチパチと留めてから広げると、スムーズに開くことができます。この開き方だと無理がなく、ダボや生地も痛みにくいです。折りたたむときも、露先をつかんで折るのではなく、内側からダボの部分を折っていくと、骨やダボに負担をかけることなくたたむことができます。こうした傘の扱い方の説明は「丁寧でよい」とお客様に好評です。
私も、最初はまったく傘の扱い方を知りませんでした。でも、売場の先輩から教わり、経験を重ねて、今では傘を早く丁寧にたたむことにかけては自信があります(笑)。今後もお客様が傘を大切に長く使えるように、扱い方のコツをお伝えしていきたいと思います。


店舗紹介

 

大丸心斎橋店

住所:
大阪市中央区心斎橋筋1-7-1
TEL:
06-6271-1231
アクセス:
地下鉄御堂筋線心斎橋駅下車徒歩すぐ。
ホームページ:
http://www.daimaru.co.jp/shinsaibashi/
概要
大阪随一の繁華街、心斎橋のランドマークとして古くから親しまれている老舗百貨店。隣接する旧そごうの建物を買い取り、2009年11月に北館として新装オープン。売り場面積は従来の本館、南館と合わせて77,490㎡となり、大丸としては最大の規模を誇る。傘売場のある1階中央は天井などのアールデコの装飾が非常に荘厳で美しく、見物に訪れる人も多い。
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※記事の内容は2010年5月31日現在のものです。


 

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