ホテイヤ洋傘店 荒井 亮太郎 さん・澄江 さん

2009.02.24


 JR青梅線の終着駅・青梅駅から奥多摩へと続く旧青梅街道に出ると、ホテイヤ洋傘店の大きな看板が目に飛び込んできます。店を営むのは荒井さん夫妻。店主 の亮太郎さん(71歳)、澄江さん(69歳)は揃ってアンブレラ・マスターの資格を取得しています。傘についての幅広い知識を得ることが、受験する動機 だったようです。
 


Q.アンブレラ・マスター認定制度を受けた動機は?

A.亮太郎さん:まあ、これからも傘屋として食べていくために、勉強して、できる限り傘のことを知っておこうと思ってね。資格が欲しいというより、そちらの知識欲のほうが大きかったかな。自分は昔風の呼び名や技術、作り方しか知らないからね。その最新の事情を理解することが目的だったね。


Q.講習を実際に受けていかがでしたか?

A.亮太郎さん:知識の見直しになったよ。少し私が思っていたことと違う考え方もあったけど、それはそれで、こんな考え方もあるんだなと。それを知ることの意義は大きかったね。


Q.資格を取得して、メリットはありましたか?

A.澄江さん:私どもの店では、買ってくださるお客様に対して、傘の取り扱い方、たたみ方、干し方などを、時間が許すかぎり、丁寧に説明するんですよ。
これは昔からやってきたこと。ただ、以前までは、そうした説明をうるさがる方もいらしたと思うんですよ。でも、今は店頭に表示しているアンブレラ・マスターの盾や認定証を目にすると、「資格を持つ人が説明する言葉」として、しっかりと聴いてくれるようになった。そんな気がするんです。
亮太郎さん:私は30年以上横田基地周辺に住む米国人に英会話を習っているけど、その先生が店に来てくれたときにこの盾を見つけて、「あなたはマスターなのか!」と驚いていた。米国人にとって、「マスター」という呼び名は非常に位が高い人と感じるらしく、私が随分格上の人に見えたようです(笑)。念のため、この資格の意味などを英語で説明しておきました。


Q.資格を今後どのように活用していきたいですか?

A. 亮太郎さん:やっぱり、「私たちはアンブレラ・マスターなので、傘の使い方の説明も修理も、何でも対応できます。だから気軽に相談してください」ということを、もう少し積極的にアピールしていくことかな。
澄江さん:私は、アンブレラ・マスター認定制度で得られた知識も活用して、お客様に明るく接客できればいいと思っています。世間話をしながら、傘の扱い方などを説明してね。お客様から「教えてもらってよかった、ありがとう」という喜びの声をいただけることが、何よりの励みになります。
 

おすすめ傘 当店自慢の3本

傘はやっぱり形がいいのが一番。丸みを帯びたキレイでエレガントなフォルムが私は好きなんですよ。そんな差したときに張り具合がいい傘を選んでみました。
 

モンブランヤマグチモンブランヤマグチ ¥19,950(税込) ほぐし織りの16間高級傘です。表面は雨に濡れると、しっとりして色艶が良くなる。これを大人の女性が差すと絵になるんだよね。



 

eight tokyoeight-tokyo ¥6,300(税込) ワインレッドの色目がキレイでしょう。開いたときの生地の張り方も非常にいい。チューリップの絵柄もシックですね。




 

モンブランヤマグチ モンブランヤマグチ ¥15,750(税込) 猫が描かれたほぐし織りの傘。猫好きの方がよく買っていかれますよ。うちの売れ筋商品だね。



 


アンブレラマスター傘への想い


傘は生地の張り具合で選ぶ


亮太郎さん:傘の仕入れは自分で問屋に行ったり、逆に問屋の方に来ていただいたり。いい傘を扱っている問屋の情報を聞けば、新規開拓のために足を運ぶこともあります。いずれにしろ、自分で商品を確かめてから注文しますね。
その商品選びの基準は、まずは開いたときの生地の張り具合。骨の強度と生地の強度のバランスが良くないと、スムーズに開かないし、丸みを帯びたフォルムにもならない。私はとにかく張り具合がいい傘が好きなんでね。だからそこをチェックします。あとは、エレガントな柄のものを仕入れるようにしています。
お客様の中には、都心や横浜など遠路から来られる方も多いですね。青梅は昭和のレトロな映画看板を飾る街として観光スポットになっているので、道すがら立ち寄られる観光客もいる。そうした方には高級なほぐり織りの傘がよく売れるね。あとはインターネットのホームページなどを見て直接訪ねてこられる方もいますよ。
澄江さん:接客では、まずお客様の色の好みとご予算を聞きますね。それをもとに、普段着ている服やレインコートの色なども聞いて、お客様に合う傘を何本か出してごらんいただきます。ただ、うちのメインのお客様である年配の方々は、どうしても地味なデザインや色を選びがち。年配の方が地味なものを差すと、顔がくすんでみえる可能性があります。
 

たたみ方も干し方も丁寧に教える

澄江さん:そこで顔を明るく見せるために、比較的派手な色をすすめます。私自身が差して顔が明るくなるのを見ると皆さん納得していただけますね。それに、派手な色なら、暗い空の下でも視認性がよくなり、車などが避けやすくなります。
また、5mくらい離れたところから、色や柄を確認していただくことも忘れません。遠目からどのように見えるかも、ファッションの重要なポイントですからね。
亮太郎さん:うちでは1人1人のお客様に、たたみ方も丁寧に教えるね。傘をたたみ、片方の手で手元と中棒のつなぎ目あたりを、生地の突端にある露先を含めて軽く握り、もう一方の手を優しく生地にそえながら、ササッと細かく傘を回してまとまったら最後のバンドを止める。これが基本です。
澄江さん:干し方も教えますよ。使用後の傘はとにかくすぐに、陰になる場所に広げて干しておくことが大切。そうすることが、傘の痛みやサビの防止につながる。傘は手入れを怠らなければ10年は楽に使えるんです。
亮太郎さん:あと、うちの売りのサービスは無料の名入れサービス。漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字のブロック体、筆記体を、電動カッターで手元に彫ります。時間にして数分。皆さん喜んでくださいます。これからも体が動くかぎり、こうしたサービスとともに傘屋を続けていきたいですね。

 

店舗紹介

ホテイヤ洋傘店
住所:東京都青梅市本町142
TEL/FAX:0428-22-3214
アクセス:JR青梅線の終点:青梅駅から旧青梅街道に出て左折しすぐのところにある。
ホームページ:http://www.citydo.com/prf/tokyo/guide/sg/280000420.html
概要
創業は今から約160年前の江戸末期の天保年間。店頭に揃う傘は実に3000本。婦人傘8割、紳士傘1割、キッズ傘1割。毎年2月には周辺の幼稚園などから卒園記念用のキッズ傘の注文が舞い込む。その数は多い年で800本。1つ1つの手元に丁寧に園児の名前を彫り納品する。


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※ここに掲載されている内容は、すべて2009年3月20日現在のものです。
 

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