もうビニール傘は買わない。

2012.05.31
大平一枝 著・平凡社

 食や衣服、家電、人間関係などなど……。使い捨てやその場限りの生活を変え、大人の女性のたしなみを身に付けるためのエッセイ集。表題をはじめ、60のアイデアがまとめられている。
 著者は、がむしゃらに仕事をし、買って、遊んで、外食しまくりの20代を経て、いつしか女としてのたしなみを身に付けたいと思うようになったという。共感する女性も多いだろう。
 そんなある日、18歳で一人暮らしを始めるときに、母親が買ってくれた折りたたみ傘が目に留まる。木の手元に花柄の古いデザイン。ブランドは時代を感じさせる
マリー・クレール。20年間どこも壊れず、いつも玄関の片隅にある。


 それを見て、著者は気付く。自分はこんなに丈夫でいいものを持っているのに、今まで何本の安物のビニール傘を買ってきただろうか。天気を気にせず外出し、雨
が降ればコンビニで買う。繰り返すうちに、玄関の傘立てはビニール傘で満杯。著者は誓う。「もう、ビニール傘を買うのはよそう」と。
 すると、外出時にある習慣が身に付いた。空を見上げるようになったのである。今日は降りそうだと思えば、年代物の折りたたみ傘を持参する。空を見るようになり、季節の移り変わりや境目も感じ取れるようになった。ビニール傘を辞めたら、季節がより自分に近くなったのである。そして、思うのである。まさに、この習慣こそが女のたしなみの正体ではなかろうか。
 エコブームや震災などを背景に、物を大切にする風潮が強まっている。女磨きのためにも、手に取りたい一冊。

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