パーティーレイン藤田屋 藤田仁子さん

2012.02.28

JR静岡駅からバスと徒歩で10分ほどの場所に、洋傘専門店「パーティーレイン藤田屋」は店を構えています。傘だけでなく、レインコート、レインブーツなど関連グッズの品数も豊富。選べる楽しさを求めて、静岡県内にとどまらず、近畿圏など遠方から訪れるお客様もいるそうです。責任者でアンブレラ・マスターの資格を持つ藤田仁子さんに、店の特徴や魅力を聞いてみました。
 

Q.
お店の特徴を教えてください。
A.
1919年創業の90年を超える歴史を持つ老舗洋傘店です。店頭には、婦人もののブランド傘を中心に、紳士傘、キッズ傘を合わせて、常時2000本の傘を置いています。売れ筋は3000円、5000円の傘。量販店と百貨店の中間くらいの価格帯の傘を探している方が、よく来店されます。
 
Q.
戦後すぐの頃は傘作りもしていたそうですね。
A.
昔は多くの職人さんを抱え、戦前は和傘を作り、戦後は洋傘も作っていました。現在も、当時洋傘を作っていた職人が一人、修理担当として働いています。修理は梅雨時には月30~50件にも及び、その職人が一人で対応しています。また、お客様の思い入れのある傘の生地を骨から外し、新しい骨に張り替えることも可能です。一年に数件、そういったオーダーを受けることもあります。
 
Q.
戦後すぐの頃は傘作りもしていたそうですね。
A.
昔は多くの職人さんを抱え、戦前は和傘を作り、戦後は洋傘も作っていました。現在も、当時洋傘を作っていた職人が一人、修理担当として働いています。修理は梅雨時には月30~50件にも及び、その職人が一人で対応しています。また、お客様の思い入れのある傘の生地を骨から外し、新しい骨に張り替えることも可能です。一年に数件、そういったオーダーを受けることもあります。
 
Q.
ネットでの情報発信や通販にも力を入れていると聞きます。
A.
自社のホームページを立ち上げたのが2004年の頃。その直後に楽天市場でネットショップを始め、2007年頃からブログもスタートさせています。ブログは新作の入荷情報などを載せています。更新頻度は、多いときで週2~3回ですね。「ブログに載っていた傘について知りたい」と、問い合わせを受けることも多いです。ホームページとネットショップ、ブログはリンクを張って連動させているので、一度の訪問で様々な情報が得られるような構造にもなっています。口コミによる情報の広がりも期待でき、ネットによる情報発信は効果があると思っています。ただし、ネットショップの売上げは全体の2割程度で、圧倒的に店舗での売り上げの方が大きいです。

Q.
やはり店で自分の目で確かめて買いたいという方が多い?
A.
そうですね。ネットで情報を得て、「傘の専門店は珍しい、一度見てみたい」と、実際に店に来て買うパターンが多いようです。特に女性のお客様では、当店の充実した品揃えを前に、「選ぶのが楽しい!」と目を輝かせる方が多いですね。「また来ます!」といって、その後も本当に何度か来店され、そのたびに買っていかれる方もいます。まさにバッグや帽子、靴を買う感覚と同じですね。傘が女性にとってファションアイテムであることを、お客様の様子を見て、改めて実感します。

Q.
遠方からのお客様も多いようですね。
A.
先日は奈良県から車で来たという年配のご夫婦が見えました。「ホームページで知り、面白そうだから来てみた」とのこと。ご夫婦で、傘やレインシューズ、レインコートをまとめ買いされていきましたね。他にも県外から来る例は多いですよ。

Q.
さて、アンブレラ・マスターを取得した理由は?
A.
地元の新聞やテレビ局から取材を受けることがあり、その際に「アンブレラ・マスターの資格を持っていますか」と、よく聞かれました。当店は、品揃えが豊富で、修理にもしっかり対応している。でも資格を持っていない。この状況を悔しく思い、また専門店だから持っておいた方がいいという判断もあり、2010年に取得しています。その後、資格取得者限定の修理セミナーにも参加。修理技術を学ぶとともに、セミナー後の懇親会で、私と同年代で、同じように専門店を切り盛りしている女性と交流もできました。様々なメリットがあり、取得してよかったと思っています。


■当店で人気の傘

大人っぽいシックな色柄(がら)や、ビビッドな色目の可愛らしいデザインが売れ筋商品。



アンブレラ・マスター 傘への想い

時間を充分にかけた接客

年配のお客様が多い売場では、ゆっくりと選んでいただいたり、気軽に立ち寄っていただいたりできるように、心を配っています。少しでも気になる商品があれば、どんどん広げて、鏡で差した雰囲気を見ていただきます。特にお顔映りがポイントです。同じベージュでも濃淡により大きく変わるので、お客様が納得される色が見つかるまで、何本でも、確認していただきます。傘は長く使うものなので、迷って当たり前。一番気に入ったものを選びたいという気持ちを、何とかかなえたいという想いで、日々接客しています。
購入後の取り扱いの説明にも、十分な時間を割きます。使用時は軽く振って開きやすくすること、使用後も軽く振り、雨粒を落とすことなど、一つひとつ丁寧にお伝えします。
傘を特に見ないで、世間話だけされる顔なじみのお客様も多いですよ。ご家族のこと、お孫さんのこと……。私も会話を楽しむようにしています。そうやって気軽に話をしていただき、傘が必要になった時に「どうせならいつもの高島屋堺店で」と、来ていただければいいなと思っています。



地方の百貨店で傘を買う理由

先日、急な雨で、ビジネスマンの方が「ビニール傘がほしい」と、来店されました。ただ、売場ではビニール傘を置いていない。そこで、駅前のコンビニをご案内したところ、「親切な対応が気に入った」と、売場の傘を買っていただきました。安価なビニール傘を求めていたのに、何だか申し訳ないような気持ちになりましたね。でも、こうした「情が厚い」ところは、地方都市のお客様の特徴かもしれません。
今後も正直に、丁寧な接客を心掛けていきたいと思います。髙島屋堺店の傘売場で扱っている傘は、ほとんどが他の百貨店でも購入できます。梅田や難波の百貨店に行けば、数倍以上の品揃えの中から選ぶこともできる。そこで、あえて売場の小さい、商品の少ない地方の堺店で買っていただくには、一人ひとりのお客様とのつながりを大切にすることが、何よりも重要なことだと考えています。
しゃべるためだけに立ち寄られるお客様も歓迎。当店にない傘を探しに来られるお客様も歓迎です。今後も徹底したお客様重視の姿勢で、接客に励みます。



店舗紹介

パーティーレイン藤田屋

住所:
静岡県静岡市葵区車町15
TEL:
054-255-3550
アクセス:
JR静岡駅北口からバスに乗り、「中町(日赤病院前)」で下車し徒歩3分
ホームページ:
http://www.kasa-fujitaya.com/
概要
1919年創業。トレンド感のある幅広い品揃えが特徴で、店舗近くのオフィス街から若い女性が来店することもしばしば。ちなみに「パーティーレイン藤田屋」という店名は、雨の日も明るく、華やかにしたいという想いを込めて、藤田さんが命名。

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※記事の内容は2012年2月現在のものです。

 

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