手元編 Part1

2011.10.01


Q:手元とは傘を開いたとき持ち手となる部位のことだよね。
A:その通り。洋傘業界では「手元」や「ハンドル」と呼ぶ。でも一般の人に通じる呼び名は「柄」だね。

Q:ところで長傘の手元はなぜアルファベットの「J」のような形なの?
A:持つときに安定するし、閉じて持ち歩くときは腕にかけられる。また、売場のハンガー什器に簡単にかけられて陳列もしやすい。様々なメリットからこの形が定着しているんだ。真っ直ぐの寸胴型の手元も稀に見かけるけど、ほとんどがJ型の手元だね。

Q:どんな種類があるの?
A:素材は大きく「木」、「合成樹脂(プラスチック)」、「その他金属」に分けられる。世の中に出回る手元の9割が合成樹脂だ。最近は、合成樹脂の細身の手元にカラフルな合皮を巻くのが流行り。ファッション感を高めるのが狙いで、主に百貨店で販売されるような高級傘に見られるデザインだ。一方、木は主に高価格帯の傘に使われる。ほとんどは合板を含む木材で、カシやナラ、寒竹などの自然木は、ほんの一部の超高級傘に使われているよ。

Q:合成樹脂にも色々種類があると聞いたけど。
A:低価格帯は、廉価なスチロール樹脂などを使うことが多い。キッズ傘は一般的に後加工ができないP.P樹脂を主に使う。それに対し、百貨店で扱う高級傘の手元は、多くがA.B.S樹脂を使っている。A.B.S樹脂は強度が高く、塗装などの後加工性も良いという優れた性質を持つんだ。

Q:どうやって手元の形にするの?
A:木は蒸気をかけて曲げたり、削って手元の形に整えたりする。合成樹脂はデザインに合わせた金型を作り、溶かした合成樹脂を流しこんで成型する「射出成型」が主流だ。

Q:最近の手元の流行りは?
A:先ほど話した合皮巻きとともに、高い装飾性がトレンド。3年くらい前からチャームや光物を付ける手元が極端に増えてきている。全面をスワロフスキーで覆った手元も登場して話題になった。表面をデコレーションする、いわゆる“デコる手元”の傾向は、今後も続きそうだね。

→次回(Part2)に続く(取材協力:福島化成工業)

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