グランデュオ立川 高橋 香織 さん

2011.02.01

東京の西部に位置する立川は駅前の発展が著しい商業エリアです。グランデュオ立川は、その話題の街の玄関となるJR立川駅に直結し、傘売場は多くの買物客で賑わう1階フロアの一角にあります。天井近くに開いた傘がディスプレイされ、すぐにそれとわかる売場では、知識が豊富なアンブレラ・マスターが出迎えてくれます。
 

Q.
どんな売場ですか?
A.
平日の昼間は50代、60代の主婦、夕方以降は学生やOL、週末は家族連れやカップルなど、曜日と時間によって異なる客層が来店する売場です。そのため、高価なブランド傘から3000円台の値ごろ感のあるアイテムまで、幅広く取り揃えています。傾向として主婦には定番のブランド傘が人気です。一方、若い女性では3000円台で可愛く、使い勝手がいいものが売れ筋です。
 
Q.
接客で工夫されている点は?
A.
雨傘と日傘で接客方法を変えることです。雨傘は、最初は基本的に商品を薦めません。お客様にとって雨傘は、服に合わせればいいのか、機能を見たらいいのか、選び方が難しい商品です。そんな戸惑っているお客様に、「この傘がいい」とセールストークをしても、判断できず逆効果です。だから、最初はとにかくどんどん開いていただき、鏡で差した雰囲気を見ていただき、お客様と一緒に好みを探っていくような接客をします。そこでいい反応のがらや色があれば、似たようなアイテムを持ってきて比べていただきます。そうやって最終的に一本の傘にたどり着くようにしています。
 
Q.
日傘の場合はいかがですか?
A.
日傘は紫外線カットなど美容に直接関係しているので、お客様も十分知識を備えています。ほしいアイテムのイメージが明確にあり、次から次へと要望や質問も来ます。だから基本はそれに答えつつ、お客様が使うシーンに合わせて、ショート傘や折りたたみ傘、ミニ傘を薦め、さらに遮光などの機能性重視か、レースなどが付いたファッション性重視かを見極め、適切な色やがらを提案します。こうして、雨傘はどんどん開いて探る、日傘は要望を聞いてピンポイントで提案することで、より的確な接客が可能になります。

Q.
アンブレラ・マスター取得の経緯は?
A.
インターネットで傘のことを調べていて、検索していたら、たまたま資格制度があることを知りました。改めて勉強したかったので受験したわけです。認定者がもらえるバッチは仕事中にいつも付けるようにしています。私はレジも打ちますが、お客様が会計を待っている間にバッチを見て、「それ何ですか」と聞かれ、説明したり、傘のことで話が弾むこともあります。「次に傘を買うときは相談させてください」といっていただけることもありますよ。
 
Q.
アンブレラ・マスターの資格が役に立っているようですね。
A.
取得後に上司が「傘のことは…アンブレラ・マスターに聞いてみよう!」と書いたPOPを作ってくれて、それを見た若い男性に実際に相談されたこともあります。「傘は女性へのプレゼントとして適しているのか」と聞かれたので、「形が末広がりなので、大切な人への贈り物に最適ですよ」と言うと、その答えを気に入っていただけたようで、一緒に選ぶことになりました。公務員の女性へのプレゼントという話だったので、仕事場にも持っていけるようなベージュのベーシックなデザインを薦めたところ、それにも納得し、購入していただきました。資格がきっかけになって、信頼を得て、買っていただくという非常にいい流れの接客になったと思います。


■当店で人気の傘

縁がデザインカットされているなど、個性的で、可愛らしく、楽しげな雰囲気の傘が売れ筋。UV付きの超軽量傘も人気。


アンブレラ・マスター 傘への想い

お客様目線より自分目線

最初、傘売場の担当になった時は全く知識がなく、知らないものをどうやって売ればいいか、悩みましたね。ハンカチやストールと違って、部品が多かったり、種類がたくさんあったりして、難しそうな商材だなと思いました。でも、悩んでばかりもいられないので、とにかく傘のことをよく知ろうと、メーカーの方に聞いたり、先輩の接客を見て自分でも真似てみたりと、色々やってみました。あとは傘を四六時中触っていましたね。
一日中色んな傘を開いたり、閉じたり。鏡でも合わせてみて、「このがらは自分は好きだな」とか、「これは使いやすいかも」と、自分で使う感覚で見て、いいと思ったものをお客様に薦めるようにしました。いわば、「お客様目線」ならぬ、「自分目線」です。そのやり方が良かったのか、商品をお客様に気に入っていただける機会も増え、徐々に傘を売ることが楽しくなりました。



高い商品が売れる・ディスプレイ

よく、お客様は商品を左から右に向かって見ていくと言われますよね。だから、色も左を薄めの色にして、右に行くにしたがって濃くするグラデーションにするといいとされています。私はそれを応用して、左に値段が張らないものを置いて、右に行くにしたがって徐々に高くなるようなディスプレイをしています。左から見ていって、この傘かわいい、これもかわいい、でももう少しお金を出してもいいかな……と気持ちがアップして見た先に高価な傘がある。
そうすれば今の時代でも、高価な傘が売れる可能性が多少高まるのではないかなと。あるいは、棚によっては下のほうに値段を抑えたものを置いて、徐々に上に行くに従って高くなるようにします。これも左から右の時と同じで、下から上に向かって見て気持ちもアップした先に高価な傘がある。こうしたやり方は試行錯誤の段階ですが、今後も色々と考えて、より売れる売場を作っていきたいと思います。




店舗紹介

グランデュオ立川

住所:
東京都立川市柴崎町3-2-1
TEL:
042-540-2111(代表)
アクセス:
JR立川駅直結
ホームページ:
http://www.granduo.jp/tachikawa/
概要
1999年オープン。周辺にはルミネ、伊勢丹、高島屋などがあり、東京の西部を代表する一大商業エリアとなっている。傘売場は駅の改札やコンコースと直結する1階フロアの壁際に展開。
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※記事の内容は2011年2月現在のものです。

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