ブラジル編

2006.01.01

傘を持ち歩かない人々に「雨雲と共にきたる」傘売りが強い味方


ブラジルは地球儀を見れば分かる通り、日本の真裏に当たる最も遠い国のひとつ。しかし、関係性では、約140万人の日系人が住む世界最大の日系人社会を抱え、日本は最大の支援国として長年援助するなど、極めて“近しい間柄”である。最近ではサッカーのW杯ドイツ大会の1次リーグ組み合わせ抽選で、同じグループに入るなど何かと縁も多い。

気候は、南半球に位置するので日本の真逆。11〜4月が夏、5〜7月が冬となる。夏は雨季にあたり、日本の梅雨に負けないくらいまとまった雨が降る地域もある。毎年3月初めに開催されるリオのカーニバルで雨の中熱く踊る光景などは風物詩だ。
さて、日本同様に雨とは切っても切れない関係のブラジルだが、こと傘のこととなると、事情は違ってくる。「日本のように、朝の天気予報を気にかけて降りそうだったら傘を持ち歩くといった習慣はない。日中に降ることが多いので、オフィスの中で仕事をしていれば不要だし、外出先で降られたとしても雨宿りをしてやり過ごせばいいじゃない」と、ブラジルの観光情報を提供するメルコスル観光局の女性スタッフはサラリと言ってのける。
もちろん呑気に雨宿りをする時間がない人も中にはいる。そんな多忙なビジネスマンの強い味方が、折り畳み傘を売るオジサンたち。晴天時は身を隠しているが、雨雲の襲来をいち早く察知すると、どこからともなく両手いっぱいに傘を持って現れ、傘の即売会のごとく、道行く人たち相手に手際よく捌き始める。「だいたい日本円にして150円くらい。傘が必要な人たちは我先にと買っていく」と、女性スタッフは話す。雨が降るたびに買って「家に帰れば傘の山」といった人も少なくなさそうだ。
今、ブラジルはちょうど雨季の真っ只中。地球の裏側では、傘売りオジサンたちが今日も空を見ながら“雨乞い”をしているはずである。

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