ベルギー編

2011.06.01

古都にはシックな傘がお似合い
 

「ベルギー、傘」と言われて、真っ先に「マグリットの傘」を思い浮かべる人は、相当な傘好きか、絵画通だろう。呼び名は通称であり、正式には「スカイアンブレラ」という。
 ニューヨーク近代美術館の売店やネットショップで販売されている、内側全面に青空と雲が描かれている風変りな傘だ。モチーフにしたのが、ベルギーを代表するシュルレアリスムの画家、ルネ・マグリットが好んで描いた青空とされている。
 ベルギーは「雨の多い国」と言われる。首都のブリュッセルの年間降水量は820mm程度と、東京の1500mm弱には遠く及ばない。しかし、年間を通じて満遍なく降るため、雨の印象が強くなっているようだ。ベルギーの巨匠の絵がモチーフにされたのも、何やら因縁めいたものを感じる。
 ただし、雨の日にすべての人が傘を広げるわけではない。少々の雨ならフードをかぶったり、濡れるのを気にせず歩いている人が多いのは、他のヨーロッパ諸国と同じだ。それでも、傘を差す人もいる。そこから傾向を掴むこともできる。
 「男性は黒っぽいもの、女性は色付きで花がらなどのデザインが主流。全体的にシックなものが多い。骨が頑丈なのもベルギーの傘の特徴」と、ベルギー政府観光局の女性スタッフは話す。ブリュッセルには、世界遺産に登録された広場「グラン・プラス」や、ヨーロッパ最古のアーケードの一つ「ガルリ・サンチュベール」など、古い町並が残る。どうやらそこに暮らす市民も、落ち着いたファッションを好むようだ。また、「頑丈なのは強風が吹くことが多いため」と、女性スタッフはいう。
 では、傘はどこで買えるか。「広場やアーケードには傘の専門店やオリジナルの傘を置く店がある。そこで、ベルギーならではのシックで丈夫な傘を購入できる」(女性スタッフ)。 ブリュッセルの雨は弱く、しとしと降ることが多い。シックな傘はそんな雨の光景にも、実によく似合うのである。

ページトップへ

  • 街角傘美人
  • アンブレラマスター紹介
  • アンブレラ・マスターがいるお店