スロベニア編

2008.01.01

傘生地に企業ロゴは当たり前
家庭間の貸し借りで広告効果アップ?


スロベニアは西をイタリアに接する中欧の国。面積は日本の四国とほぼ同じ、人口は約200万人に小国だ。1991年に旧ユーゴ連邦から独立し、2004年にEUに加盟。ユーゴ連邦内では経済先進国であり、国民の生活水準も比較的高い。

降雨は、春と秋に多く、年間降水量は少ない地域で8百ミリ、多いところでは3千ミリにも達する。雨には縁が深い国といえそうである。

そんな事情も反映して、スロベニアでは傘の使用頻度は高いようだ。首都のリュブリャナなどでは、日本同様にコンビニや小売店で広く販売され、価格もコンビニで5百〜千円程度、小売店では2千〜3千円程度で出回っているという。色は青や赤、黒の無地が主流。スロベニア市民に聞いたところ、「みんな色柄などファッション的な要素は気にせずに購入し、使っている」という。
一方、日本同様に傘は絵本の題材にも登場する。例えば、同国の著名な作家エラペロッツィ氏による『傘がバルーンになったら』は子供に大人気。文化的にも傘がしっかりと根付いているのだ。
さらに興味深いのが、企業が得意先へのノベルティグッズとして傘を配る機会が非常に多いということ。日本ではタオルやカレンダーが定番だが、スロベニアではなぜか傘が主役だ。
色柄を気にしない国民気質も手伝って、雨の日は街角で企業ロゴや広告の描かれた傘があちこちで見られる。銀行、製薬メーカー、ガソリンスタンド、学校など業種も多種多様。「それに、こうした傘は友達同士や家同士で貸し借りすることが多い。ほとんどの人は返却不要で貸す」(前出のクロアチア人)。つまり、企業の販促傘は人々の間を、図らずも転々としていることになる。これは企業にとって好都合。日本に馴染みの薄い国の知恵は、ビジネスのちょっとしたヒントになるかもしれない。

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