スペイン編

2010.03.01

スペインの雨は主に北部に降る
雨量によって雨具を合理的に使い分け


オードリー・ヘップバーンの不朽の名作『マイ・フェア・レディ』。ロンドン下町の花売り娘イライザに、大学教授がクイー ンズイングリッシュの発音や言い回しを教え、社交界に通用する淑女に変身させる物語だが、この中には有名なセリフがある。 “ The rain in Spain stays mainly in the plain.”訳すと「スペインの雨は主に平地に降る」。イライザが“ai”を下町訛 りで「アイ」と発音してしまうのを「エイ」に直すための練習フレーズだ。

 ただし、実際にその言葉通りかというとそうでもない。スペインの気候は大きく3つに分けられる。東部、南部は年中温暖で乾 燥した地中海性気候、中央部は夏が暑く冬は寒い大陸性気候、そして、北部は夏が涼しく冬は温暖で、雨が多い海洋性気候である。 従って「平地」ではなく「北部」というのが正しいようだ。特に、エルサレム、バチカンと並ぶキリスト教三大巡礼地のサンティア ゴ・デ・コンポステーラがある、スペイン北西部のガリシア地方は雨が多い。年間の半分( 約180日)は降るというから、年間降水 日数では日本で1、2を競う富山県と同じレベルだ。
 では傘事情はどうか。スペイン政府観光局のスタッフに聞くと、「雨足が強い場合は皆傘を差します。日本のようにピンクや 水色といったカラーや花柄はあまり見られず、茶系やチェック柄などトラディショナルなものが多いですね」と、説明してくれた。
「でも、雨足が弱ければレインコートやはっ水加工の帽子をかぶって外出しています。日本のように傘一辺倒ではなく、雨の強 弱によって雨具を使い分けるのがスペイン流のようです」とも。 スペインは「太陽と情熱の国」と言われるが、雨には実に合理的に対処しているようである。

ページトップへ

  • 街角傘美人
  • アンブレラマスター紹介
  • アンブレラ・マスターがいるお店