あかいかさ

2009.10.01
あかいかさ作:ロバート・ブライト 訳:しみずまさこ
(ほるぷ出版・1975年10月刊)

 縦17cm×横13cmの可愛らしいサイズの絵本だ。半世紀前の1959年に米国で刊行され、日本では約35年前に翻訳されて出版。その後、実に60回以上も増刷されている、超ロングセラーである。「全国学校図書館協議会選定図書」、「日本図書館協会選定図書」に選ばれているため、子どものころ、図書館で手にした人もいるのではないか。

 作者のロバート・ブライトは、米国生まれで、絵本作りに精魂を傾けた人物。モットーは「目に見えるものをモデルにスケッチするのではなく、心に感じるものを見る」。その言葉通り、自身の中で浮かんだ心象風景を形にしたものが、この作品だ。

 主人公は小さな女の子。晴天の中赤い傘を持って出かけると、そのうち雨雲が現れ、雨となる。女の子が傘を差すと、子犬が「入れて」と現れ、子猫、にわとり、子うさぎなど様々な動物が次々と傘の中に入ってくる。それにつれて、傘も少しずつ大きくなり、クマが入るころには巨大なテントのような大きさに。賑やかになったところで、女の子が音頭をとって全員で歌を合唱する。

 やがて雨はやみ、動物たちも1匹、また1匹と傘から抜けて帰っていく。女の子は全員に別れを告げて、最後の子犬が出て行ったところで、元の大きさになった傘をたたみ、家路に着く。そして、帰宅したところでひと言。「やっぱりかさもってってよかった」。

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