晴れた日には銀行から傘を借りよう

2008.01.01
「晴れた日には銀行から傘を借りよう」小堺桂悦郎
(日本実業出版社・2007年11月刊)

 金融機関の融資係、大手税理士事務所を経て独立し、現在、主に会社の税務会計や資金調達を指南する「資金繰りコンサルタント」として活躍中の著者が、会社の成長段階に合わせた銀行からの“借金術”をまとめたのが本書だ。シリーズ累計69万部突破の『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』(フォレスト出版)をはじめ、数多くのビジネス書を世に送り出した実績を持つ著者の最新ビジネス書である。

 会社が傾くことはよく天気の「雨」に例えられる。その雨の時に資金=傘を貸さず、逆に業績好調の、いわば「晴天時」に傘を差し出す。そんな銀行の性質を「薄情だ」と嘆くより、上手く利用して、晴れの日にこそ銀行から傘を借りて、雨の日に備える。つまり、設備投資、運転資金は借金でまかない、万が一のときのために、キャッシュフローは手元に取っておく。それが、会社が成長曲線の描き、存続・繁栄するための資金繰りのコツだと、著者は説く。

 その借金経営のノウハウは、成長曲線のステージごとに詳細に解説する。「創業期」の創業資金の借り入れや銀行選び、「成長期」の預金通帳を帳簿代わりに活用した資金繰り把握テクニック、「安定期」の借金や節税対策、「衰退期」の借金のリスケジュール、会社再生のための諸対策など、極めて実践的な内容。資金繰り初心者マークの起業家から土壇場で踏ん張る経営者まで、参考になるエッセンスが山盛りだ。

 借金はリスクを伴い、毛嫌いする経営者もいる。しかし、会社を効率良く成長させるためには不可避な道ともいえる。そんな銀行の“傘”との上手な付き合い方を本書からぜひ学び取りたい。

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