傘が首にかかってますけど

2007.06.01
「傘が首にかかってますけど」フクダカヨ
(インフォバーン・2005年3月刊)

 ブログやネットから生まれる本が注目される中、大手インターネットサービスプロバイダーのニフティが、人気ブログを本にするために開催した「ココログブックコンテスト」で見事大賞を受賞し、書籍化されたのが本書。この幸運を手にしたブロガーの名はフクダカヨ。大人気ブログ「フクダカヨの絵日記」の運営者だ。絵日記は、作者の周りで起こる日常のエピソードを、ほんわかと柔らかいイラストと、ゆるいタッチのテキストで紹介する、実に味わいのある内容。この脱力感を求めて、今でも不定期にアップデートするブログには、多くのユーザーがアクセスする。

 書籍化された本には、1999年から2004年までの絵日記の中から作者いわく「適当に」ピックアップした116の作品や、出版に際して書き下ろしたコラムなどが収録されている。表題の「傘が首にかかってますけど」も絵日記のひとつだ。作者が電車を降りたところで、傘を首に引っ掛けて歩いている中年男性を発見。雨がかなり降っているのに、一向に差そうとせず、タバコを買ったり、吸いながら歩いたり。「もしや首にかけたことを忘れていたのでは」と、作者。そんな独自の視点に感心しつつ、イラストに目を移していくと、自然と笑みがこぼれ、共感を覚える。確かにそんな不思議なことをする人、たまにいるよねと。

 その他の作品も「そうそう」「あるある」と思わずうなずきたくなるものばかり。自分の言葉とイラストで素直に表現する姿勢には、読み進むごとに親しみを感じ、一冊終わるころにはいつの間にかフクダカヨのファンになっている。多忙な折、ちょっと息抜きしたい人はぜひどうぞ。

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